俺にはブルーズを歌う権利なんかない

どこにも所属を持たず仕事/勉強/読書を続けています。2008年、音楽についてメモ代わりに書くためにこのブログを始めました。

2008-03-01から1ヶ月間の記事一覧

遠い海の記憶

買ったまま観てないDVDが何枚かありますが、これは半分ぐらい観ました。 『NHK少年ドラマシリーズ つぶやき岩の秘密』(1973年7月放送、再放送は1974年3月) 新田次郎の原作は、このドラマの作られる前に、隣のうちのお兄さんから借りて読んだ記…

私はバッテラ

まあるいお皿に 身を乗せて ぐるぐるまわる お客の前を マグロにハマチにエビにタコ みんなどんどん売れてゆく なのに私は まわるよまわる まわり続ける 私はバッテラ だけど私は 泣いたりしない こんな私を つまんでくれる 未だ見ぬあなたを待ってます だっ…

北里義之『サウンド・アナトミア』

今年に入って、書店の店頭で見つけました。「あっ」と思って即購入。 北里義之『サウンド・アナトミア 高柳昌行の探求と音響の起源』(青土社、2007年) お会いしたことはありませんが、北里さんは以前、「音場舎通信」という評論誌を送ってくださっていまし…

ドリー・パートン「悲しき天使」

まあ誰に言われるまでもなく僕はもういいおじさんなんですが、ときおりそれがどうしようもない実感として迫ってくるときがあるんですよね。たとえば、こないだ自分の本棚を眺めていて、マドンナとジャネット・ジャクソンとドリー・パートンのDVDが3枚並ん…

桑田靖子「脱・プラトニック」

iTunesStoreについて何回か書きましたが、便利なことはやっぱり便利なんですよ。脳内でぱっとある曲を思い出して「聴きたいっ!」と思ったとき、即座に検索して手に入るというのはすごいことです。そんなふうにして、この曲も、いまiTunesのなかで鳴っていま…

なぜか二枚持ってるCD

本ならわかるんです、同じ本二冊持ってるとか三冊持ってるとか。千野栄一『外国語上達法』なんか古本屋で見るたび「あ、買おう」というかんじで買ってましたからね。若い人と仲良くなったとき「これを読め!」と進呈するためについ買ってしまうんです。で、…

うめ吉『明治大正はやりうた』

邦楽のうめ吉さんのCDは全部で4枚持ってます。今日はこんなのを聴きたい気分。 うめ吉『明治大正はやりうた』(2005年) CDのオビに小沢昭一さんが推薦の辞を寄せています。「江戸から明治大正の寄席の唄を、うめ吉姐さんが、いろっぽく守ってくれ…

フードゥー・ムーンの下で

昨日、ドクター・ジョンの本の話を書きましたが、なにも法外なお金を払ってまで高価な古本を買うこたあありません。洋書を注文すればいいんです。 Dr.John, Jack Rummel. Under a Hoodoo Moon:The Life of Dr. John the Night Tripper. St. Martins Pr. 1995…

ドクター・ジョン『テレヴィジョン』

これ悪くないのになあ… ドクター・ジョン『テレヴィジョン』(1994年) 日本のアマゾンにはカスタマーレヴューがなくて、アマゾン・コムのほうを見ると、星2つをつけてる人がいるんですね。いわく「ファンクがフラットでどうたらこうたら」。そうなのかなあ…

サム・クック「キューピッド」

札幌出張があって、疲れて帰って来て、週末です。今日は完全休養です。こういう日はなんにも考えずに、これ聴きましょう。 サム・クック『ザ・マン・アンド・ヒズ・ミュージック』 28曲入ったベスト盤です。ゴスペルのソウル・スターラーズ時代の「タッチ・…

巨匠、現代ロシア文学に言及する

筒井 今島田さんがおっしゃったのは、何のために書くかという話ですが、それに関して『トラウマの果ての声』(群像社)に面白いことが書いてある。この本は現代ロシア文学と、それから全体の現状を解説しているんです。これを読むとロシア文学の二つの方向が…

のっぽのサリー

いや、すごい事になってます。札幌出張の際に参加した研究会の話。その名も「第三回共産圏アニメSF妖怪研究会」ときたもんだ。ロシア文学と中国文学の大学院生がジョイントして立ち上げた企画だそうです。 今回はロシアの回。フョードル・ヒートルクという…

裸の王様

じゃがたらで一番好きなアルバムは『君と踊り明かそう日の出を見るまで』というライヴ盤です。アレは確実に自分の好きな日本のロック5枚の中に入ります。ただし、いつも聴きたいとは思わない。あまりに悲痛で、聴きとおすのがとてもしんどい、重いアルバムで…

チェルシー・ホテル

僕はめったに映画を観ません。したがって詳しくありません。ただ、実家に帰ったとき、老母を連れて地元のホームセンターに買い物に行くと、VHSの映画を300円くらいで投売りしてるんですね。どうせ買ってもゴミになるだけだしなあ…と思いながら、何か見つ…

ロック・ミュージックとサイエンス・フィクション

文学研究者の集まりなどにたまに出て行くことがありますが、そこで学者さんたちと話をしていると、いつの間にか自分が、音楽と文学をごっちゃにして話をしているのに気づくことがあります。もっとはっきりいえばロックとSFを。そして怪訝そうな顔をされて…

西田佐知子におけるブルーズの概念

昔々の話ですが、深夜放送で近田春夫さんが五木ひろし『よこはまたそがれ』をかけながら、「この、『ブルース、口笛、女の涙』のブルースって、スリム・ハーポとかを指すんでしょうかねえ」と発言したことをやけにはっきりと憶えています。今では信じがたい…

へヴィ・サウンズ

うわあ何これ懐かしい。エルヴィンとリチャード・デイヴィスが逆光の中でタバコをぷか~っと吹かしてるジャケット。先日の日曜、CD店で見つけました。 エルヴィン・ジョーンズ&リチャード・デイヴィス『へヴィ・サウンズ』(1968年録音) 何といっても一…

沢口みき「ヨコハマ」

沢口みき『私の胸でおねむりなさい』(アルケミーレコード、1999年)はよく聴きました。なかでも8曲目、山崎ハコのカバー「ヨコハマ」の壮烈ないじけっぷり。聴かせます。 雨にぬれた だるま船 いつまでたっても 動かない 誰かが河に石投げた 淋しい目をして…

ラカンはこう読め!

やってくれるなあ、このタイトル。見ただけで即買いでしたね。 スラヴォイ・ジジェク『ラカンはこう読め!』(鈴木晶訳、紀伊国屋書店、2008年) まだ読んでません。読んでませんけど、このタイトル。ピンと来ます。僕らの世代にピンと来ないはずがない。平…

マリアンヌ・フェイスフル『二十世紀ブルース』

『二十世紀ブルース』というのは原題で、邦題は以下のようになっています。 『マリアンヌ・フェイスフル・シングス・クルト・ワイル~ワイマールの夜』(1996年) マリアンヌ・フェイスフルが独特のしわがれ声でクルト・ワイルその他のワイマール・ドイツの…

マダム・ギター長見順「舟歌」

マダム・ギター長見順『超スローブルース』(2005年) 主婦ブルーズ・ギタリスト長見順の4枚目、だそうです。これはよく聴きました。愛嬌のある歌声と生活感ふれる歌詞、そして本格的ブルーズ・ギター。山場は8曲目に来ます。 「舟歌~I Love Rock'n'Roll」。…

ヨコハマA・KU・MA

iTunesの話を前に書きましたが、僕のノートパソコンの中のiTunesで再生回数が最も多いのは中森明菜「ヨコハマA・KU・MA」の46回です。 1982年10月のセカンドアルバム『バリエーション』に収録されていた曲。要は不良娘が「車に乗せてくんない?」と誘ってい…

黄昏みなと町

ファンの皆さん、渚ようこの曲の中で何が一番好きか?と訊かれたら、何と答えますか。 僕は、案外、これ、なんじゃないでしょうかね。 「黄昏みなと町」(東西蘭月作詞・ゲイリー芦屋作・編曲) 3曲入りの『愛の逃亡者』に収録されています。昭和歌謡の完璧…

渚ようこ&ザ・ヤング

渚ようこ&ザ・ヤング『ライヴ』(2003年発売、INTN2002) これ、アマゾンで買えず、さる通販サイトで見つけて買いました。ファズギターを前面に出したギター・バンドをバックに、渚ようこがいつになくソウルフルに歌っています。悪かろうはずがない。 で、…

フランケンシュタイン

「この破局に遭遇したときのわたしの感情を、どう表現したものか。わたしが、あれほどの限りない苦労をして作り上げようとしたこの惨めなやつをどう描いたらよいものか。やつの手足は均整がとれ、わたしはやつの目鼻を美しいようにと選んだはずだった。美し…

うっかりしてた

いや~会議が長かった。疲れた。で、うっかりしてました。何が? 僕は、明日、仕事が休みなんですよね。それを忘れてた。我ながらこれは間抜けだ。 で、急に解放感が沸いてきました。朝寝して、そのあとCDでも整理しましょう。今日書くはずだった記事は明…

戸川純「さよならをおしえて」

僕も今ではいいおっさんです。今日の晩御飯はつぼ鯛、サラダ、シーフドマリネにライス、ビールを少々。 20年前は、26歳、ただの無職でした。昼間から街の真ん中のベンチに坐って、空を見上げていました。「今日は何をしようかなあ…」。そんな時聴いた音楽は…

あの日にかえりたい

出だしの、乾いたスネアの音。 これが聴きたくて何度CDプレイヤーに載せたでしょう。荒井由美『ユーミン・ブランド』の一曲目、「あの日にかえりたい」。 僕はコアなユーミン・リスナーではありません。持っているアルバムはこれ一枚。そのかわりずいぶん…

I love RAMONES

昨日本屋で買ってきた本のうち巽孝之『プログレッシヴ・ロックの哲学』をあっという間に読んで(回顧的でありながら前進的、なおかつ啓発的、刺激的、これについてはあらためて書ければと思います)、yuki kuroyanagi『I love RAMONES』(もちろん日本語で書…

むなしきものをこそひとは愛す

昨日は天気悪く、寝不足でちょっと頭も痛くて、氷嚢をあてて寝ていました。重厚な本が何冊か届いたけれど、こういう日は本は読まないほうがいい。読み出して夜更かし、徹夜となると身体に悪いですから。でも、本棚からレイ・ブラッドベリ『何かが道をやって…