俺にはブルーズを歌う権利なんかない

どこにも所属を持たず仕事/勉強/読書を続けています。2008年、音楽についてメモ代わりに書くためにこのブログを始めました。

裸の王様

じゃがたらで一番好きなアルバムは『君と踊り明かそう日の出を見るまで』というライヴ盤です。アレは確実に自分の好きな日本のロック5枚の中に入ります。ただし、いつも聴きたいとは思わない。あまりに悲痛で、聴きとおすのがとてもしんどい、重いアルバムです。

じゃがたらで一番「よく聴いた」アルバムというと、これになるでしょうか。『裸の王様』(1987年3月発売)。僕は翌88年に買って聴きまくりました。当然、当時はLPです。タイトル曲はギターがころころと鳴るアフロビート。かなりかっこいいです。

LP時代というのは、レコードを片面ずつ聴く時代でもありました。あれはなかなかよかったです。このLPの場合だと、A面、「裸の王様」「岬で待つわ」、2曲で20分弱。ちょうどよい長さで、繰り返し繰り返し聴いたのを憶えています。ただ、本当によく出来たアルバムで、去年かな、CDになってすぐ買って、車の中で聴いたのですが、4曲すんなり聴きとおせます。あっという間です。3曲目の「ジャンキー・ティーチャー」から最後の曲「もうがまんできない」も、飽きずに聴けます。今聴くとこの「もうがまんできない」が強烈。ゆるめのレゲエなんですが、「ちょっとのひずみなら なんとかやれる」が次第にエスカレートしていって「ちょっとの搾取なら がまん出来る ちょっとの搾取ならば 誰だってそりゃあがまんできるさ」にまで行き着いてしまう。「心のもちようさ 心のもちようさ」のリフレイン。でもってタイトルが「もうがまんできない」なのですから強烈なアイロニーです。

解説としてついているギターのOTOさんと湯浅学さんの対談もなかなかの読み応え。フェラ・クティへのOTOの憧れが語られています。それでとにかく1曲10分になってるわけですね。納得です。