俺にはブルーズを歌う権利なんかない

どこにも所属を持たず仕事/勉強/読書を続けています。2008年、音楽についてメモ代わりに書くためにこのブログを始めました。

2011-01-01から1年間の記事一覧

サルトルで眠れない

YouTube: サルトルで眠れない - 野崎沙穂 ('85) また書庫から自宅のほうへ少し本をもってきました。 カール・ポランニー『経済と文明』(栗本慎一郎、端信行訳、ちくま学芸文庫、2004年) シモーヌ・ヴェイユ『重力と恩寵 シモーヌ・ヴェイユ「ノート」抄』…

ヘヴィメタルとしてのショスタコーヴィチ

YouTube: Shostakovich String Quartet No. 8 in C Minor (II) これはよく言われることでもあり、自分の経験とも合致することですが、「ヘヴィメタル」という言葉は70年代初期や中期に、なかったことはないんですが、あまり使われていた記憶がありません。デ…

じゃがたら「もう我慢できない」

YouTube: じゃがたら "もう我慢できない" 原子力災害は今に至るも予断を許さない状況が続いています。 電力会社の責任を追及する声は今あちこちから挙がっていますし、事態の収束にめどがついた暁には、公式にしかるべく経営の刷新なり事業の清算なりが行わ…

青い地平線

YouTube: 青い地平線 - ブレッド&バター 最初に入った大学で学業がものにならなかった話を何度か書きました。当時は、先生もやる気なさそうで、同級生たちも「もう勉強はしないんでしょ?」と言ってサークル勧誘に来るような奴らで、同じ下宿の先輩も、理系…

日曜日の書庫で

3月11日の震災がこれほど大きなものとは、発生当初は思いもしませんでした。被災された方々にあらためて心よりお見舞い申し上げます。 こちらは被害はなく、それでもささやかな書庫のなかが心配でした。大量の本が崩れていないかどうか。幸い、そういうこと…

あの娘がつくった塩むすび

「受験のために夜汽車で東京に向かった。青森をだいぶ過ぎたあたりであったろうか、がらがらの客車に中卒者たちが四人、隣の席にいて、『高校にいったって何の役にも立たないんだ。しっかりはたらいてカネを稼ぐのが大事なんだ』としゃべり合っていた。すで…

怪傑ハリマオ

YouTube: 怪傑ハリマオの歌 世の中は必ずしも白か黒かがはっきりした世界ではなく、むしろすべてが灰色なのだ、とか、どの党派も幾分かは正しく、幾分かは不適切だ、とか、複数のディシプリン(学問領域)のどれもが、決定的な反証jの挙がらないまま並立して…

みちのく一人旅

YouTube: 山本譲二 - みちのくひとり旅 3月11日の地震・津波から1週間以上が経過しましたが、原子力災害まで発生し、予断を許さない状況が続いています。 手許のメモでは、震災前の2月28日、地上波の某トーク番組を観ていたら、若手起業家が出演し、国づく…

ヴォカリーズ

YouTube: Clara Rockmore - Vocalise 災害の報道に心を痛める日々が続いています。ただ、ここは最大の被災地からも原発からも遠く離れているので、TVを常時つけっぱなしにして情報を仕入れる必要はありません。こういうときは、どのていどの関心を持って報道…

弥生つめたい風

YouTube: 弥生つめたい風:NSP 大きな災害が起こりました。あの地方には僕自身が何年も住み、今もたくさんの恩師や友人がいます。まだ冷たい三月の風の中で、今この瞬間も救助を待っているみんなの無事を、ただただ祈っています。

ヤシからナテラ

YouTube: 篠ひろ子 CM LION / ナテラ (1991) 前に書きました通り、フランス語なんてわからないんですが、仏和辞典を引きました。 sauvage 形容詞[名詞の後] 未開の(=primitif) [動・植物が]野生の(⇔domestique)(人が)野蛮な 1991年の食器洗剤のCM…

平尾昌晃「おもいで」

YouTube: おもいで-平尾昌章/平尾昌晃 1965 ロカビリー歌手としてブレイクし、「星は何でも知ってる」「ミヨちゃん」などのヒットをもっていた平尾昌晃さん。ふとした間違いで拳銃不法所持事件を起こしてしまい、一時、仕事を失いました。茅ケ崎の実家へ帰り…

ブラヴォー「黒猫」

YouTube: Браво - Чёрный Кот YouTube: 平尾昌晃 - ミヨちゃん 初めて入った大学では思った通りのことが学べなくて、学業はものにならなかったんですが、それでも、そこで習ったいくつかのことが、その後の自分の血肉と化して役に立っていることを感ずるこ…

ファラオ・サンダース「ユー・ガット・トウ・ハヴ・フリーダム」

YouTube: Pharoah Sanders "You Got To Have Freedom" have toが「ねばならない」をあらわすことは中学で習いますが、I have to~というべきところをアメリカの人はI've got to~と言ったりするということに僕が気付いたのは、高校生の時かなあ。「ねばならぬ…

ディック・セント・ニクラウス「マジック」

今、手元にあるのは『ウィ・アー・ザ・エイティーズ』というソニーの80年代洋楽コンピレーション。アマゾン・マーケット・プレイスで400円くらいで売ってたもの。80年代はじめ、大学時代に聴いた曲がいっぱいで、いい買い物でしたね。CD棚のこやしにし…

ディー・ツヴァイ「スカイライナー」

昨日、ワーグナーのことなど書きましたが、あたしゃもちろんドイツ語なんてほとんど読めないのです。でもかろうじて何が書いてあるかぐらいわかるのは、最初に入った大学で第二外国語に選んだのがドイツ語だったから。その大学は第二外国語はドイツ語とフラ…

トリスタンとイゾルデ

スラヴォイ・ジジェク、ムラデン・ドラー『オペラは二度死ぬ』(中山徹訳、青土社、2003年)より、メモ代わりに引いておきます。 「トリスタンとイゾルデの神話は、愛とは、あらゆる社会的、象徴的紐帯を一時無効にするラディカルな侵犯行為である、という宮…

プレイ・フィドル・プレイ

昔々、会社に勤めていた頃の思い出の曲です。 結局はその会社、辞めちゃったんですけど、辞める直前、転勤になって、ほんの少しのあいだ遠い街に住みました。信じられないほど雪深い街で、人の気質も全くわからず、数ヶ月心細く暮らしました。 楽しみといえ…

弦楽のための三楽章

昔々、サンクトペテルブルクから偉い先生が来て、札幌に1年間滞在したことがありました。そのとき、日本語が読めないその先生に頼まれて、国文学や比較文学の先生たちがお書きになった芥川龍之介関連の論文を何本か読んで、その内容を教えてあげたことがあり…

アーラ・プガチョーワ「メリー」

アーラ・プガチョーワといえば日本では「百万本のバラ」を歌ったロシアの歌手として知られていて、かく言う僕自身もその程度の認識なんですが、15年くらい前モスクワに行って露天のカセットテープ屋さんで買ったНе делайте мне больно, господа(1995)とい…

夕焼けだんだん

切れのいいフォービートを刻むアコギ。ノスタルジアいっぱいのクラリネット。軽快なベースとドラム。一昨年、NHK・FM「ひるの歌謡曲」を聴いていたら流れてきたこの曲、歌ってるの誰? と思い、何曲か流れた後のアナウンスを待ちました。なんと石川さゆ…

秋吉敏子「朝日の如くさわやかに」

2月12日土曜は、自宅にずっといたのに、なんだか喫茶店を何軒かはしごしたような気分の一日でした。 朝日新聞の別刷り「Be」ではガロの「学生街の喫茶店」が取り上げられ、この1973年の大ヒットの舞台設定となっている<学生街>の<喫茶店>はどこなのか?…

ピチカート・ファイヴ「モナムール東京」

引用、本歌取り、パクリ、間テクスト性…そんなことばかり考えているうちに半年が過ぎ、一年が過ぎてゆく… 先日、ピチカート・ファイヴのシングルCD『モナムール東京』が出てきて、懐かしかったですね。97年の発売。当時、随分聴きました。今調べますと、い…

PANTA「マーラーズ・パーラー」

1980年の夏。汽車に乗り、東京へ向かいました。先輩が東京で浪人、というか、自由奔放に暮らしていたので、訪ねていったのです。先輩が住んでいたのは中野区の住宅街の貸間。大江健三郎そのほか文学書で埋もれた部屋にたしか3日滞在したのかな。 そのうちの…

キャプテン・ビーフハート死去

今日の朝刊を開いたら、以下の記事が目に飛び込んできて、キャプテン・ビーフハートが昨年末に亡くなっていたことを知りました。 町田康「不滅の音、世界遺産級 キャプテン・ビーフハート氏を悼む」(朝日新聞[北海道版]、2011年2月4日23面) 享年69歳、本名…

ニューオーリンズのWWOZ

いちいちCDを買っていてはお金がいくらあっても足りない、でも浴びるほど音楽を聴きたい…こういう気分を持て余しながら生きている僕にとって、インターネットで聴けるラジオはありがたい存在です。 ニューオーリンズのWWOZという音楽専門局は、あると…

T・S・エリオット『キャッツ』

どこかのブックオフ(かその種の新古本店)で買ったまま書棚で眠っていたこの本。 T・S・エリオット『キャッツ ポッサムおじさんの猫とつき合う法』(池田雅之訳、ちくま文庫、1995年) ミュージカル『キャッツ』の原作本か…程度の認識で買ったはず。解説…

コルトレーン・プレイズ・ザ・ブルーズ

むかし、北海道某市の真っ暗なジャズ喫茶に通っていました。お世辞にもこぎれいでおしゃれ、という店ではなかったですが、スパゲティを食べに来る高校生でいつもいっぱいでした。冬のきんきんに冷たい外気から逃げるように階段を上がり、3階の店のドアを開け…

小泉今日子はブギウギブギ

自身は楽器も弾かず作曲もせず、普段はTVのコマーシャルで顔をよく見るだけ。そういう人が実在するのかどうかすら怪しくなった頃、ときたま映画で個性的な役を演じ、これまたときたま歌手として新譜を発表する。自らのパブリック・イメージを適切に管理す…

高柳昌行グループ「ユービー ソー ナイス トゥ カム ホーム トゥ」

先日、ヘレン・メリルで有名になった"You'd Be So Nice To Come Home To"について書きましたが、高柳昌行がスタンダード曲を思いっきり弾きまくっているライヴ盤『ライブ・アット・タロー[昼の部]』にもこの曲が収められています。1979年の6月、新宿「…