俺にはブルーズを歌う権利なんかない

どこにも所属を持たず仕事/勉強/読書を続けています。2008年、音楽についてメモ代わりに書くためにこのブログを始めました。

フランケンシュタイン

「この破局に遭遇したときのわたしの感情を、どう表現したものか。わたしが、あれほどの限りない苦労をして作り上げようとしたこの惨めなやつをどう描いたらよいものか。やつの手足は均整がとれ、わたしはやつの目鼻を美しいようにと選んだはずだった。美しいようにだ!何たること!やつの黄色い肌はかろうじて筋肉と、その下の動脈をおおっていた。やつの髪はつやつやと黒くなびいていた。やつの歯は真珠のように白かった。だがこれらのぜいたくさも、やつのどろんとした眼、しわの寄った肌、黒くまっすぐな唇とより恐ろしい対比を生み出すばかりだった。どろんとした眼の色は、その眼がおさまった灰褐色の眼窩とほとんど同じ色に見えた」(メアリー・シェリー『フランケンシュタイン』より拙訳)

昨日はとあるところから上記の小説について問い合わせがありました。しかし僕は英文学専攻ではないので、適切なお答えをすることが出来ず、「英文学者でロマン主義の専門家にお聞きになったほうがいいでしょう」と申し上げました。快刀乱麻の明快なお答えが出来ればさぞ気持がよかったでしょうが、僕がこの小説を読んだのももうずいぶん前のこと。この分野は日進月歩で研究が進んでいます。不正確なことや時代遅れなことをお教えすることになってはやはりまずいと思いました。わざわざお電話くださったのに、お役に立てず申し訳ありません。

ということで今日の音楽はこれ。HK.Gruber Frankenstein!!(1998)

ウイーンのいかれたシャンソニエ、グルーバーが強いドイツなまりの英語でフランケンシュタインの物語を歌っています。