俺にはブルーズを歌う権利なんかない

どこにも所属を持たず仕事/勉強/読書を続けています。2008年、音楽についてメモ代わりに書くためにこのブログを始めました。

小坂恭子「思い出まくら」

当時はフォーク/ニューミュージックというくくりで語られていたけれど、今となっては70年代の新種の歌謡曲ととらえたほうがすっきりする、そんな楽曲ってありますよね。丸山圭子「どうぞこのまま」がそうでした。庄野真代「飛んでイスタンブール」がそうでした。りりィ「私は泣いています」がそうでした。でもって、これもそうだと思うんですが、さてどうでしょう。小坂恭子「思い出まくら」。

ドラマチックな弦とピアノ。年上の男とのオトナな日々の思い出を歌い上げます。一番の歌詞はこんなんです。「こんな日はあの人のまねをして けむたそうな顔をしてタバコを吸うわ そういえばいたずらにタバコを吸うと やめろよと取り上げてくれたっけ」。

1975年、130万枚のヒットとなった曲。70年代のちょうど半ばです。小坂さんは1953年生まれだそうですから、このとき21、2歳ということになるでしょうか。当時は19、20、21,22歳ぐらいの女の人って、髪が長くて、ベルボトムのジーンズはいて、タバコ吸って、寺山とか太宰とかの文庫本読んだりして、「あなたは子供なのよ」なんて言って、完全にオトナでしたね。ああいうオンナの人たちって、どこいっちまったのかなあ。みんな結婚して子供作って、ふつうのお母さんになっちゃったんでしょうか。

ああいう、70年代のかっこいいお兄さんお姉さんの世界に憧れて、文学とか、語学とか、やってみたんですが…。あ、やっぱり、動機が不純ですか。

この曲はiTunesStoreで購入。当時のヴァージョンが聴けます。感傷的なメロディに、恋を追憶しながら一人寝する女性の心情を歌った歌詞。沁みます。