俺にはブルーズを歌う権利なんかない

どこにも所属を持たず仕事/勉強/読書を続けています。2008年、音楽についてメモ代わりに書くためにこのブログを始めました。

りりィ「私は泣いています」

1974年。鮮烈なヒットでした。りりィ「私は泣いています」。

りりィさんはとにかくあの美貌にあのハスキー・ヴォイスという落差が良かったですね。しかも弾いてる楽器がベース。ちょうど同じ頃、イギリスのロック・クィーン、スージー・クアトロがやはりベースを弾きながら暴れまわっていて、よく比較されたりしてたんじゃないかな。スージー姐は、たしか「ベースの低音が股間に響く」といった意味の衝撃発言をして話題になってましたが、りりィさんの場合は、あくまでその「ちょっと陰のあるシンガーソングライター」というパブリック・イメージにベースという楽器がぴったりでした。

で、今、僕のiTunesのなかで鳴っているのは『りりィライヴ』のヴァージョンです。これも僕は勘違いして買ったんですね。『りりィライヴ』のCDは紙ジャケで再発されたとき買って持ってるんですよ。スタジオ録音のが欲しいな、と思って買ったら、おんなじライヴ音源でした。よく確認しないのがいけなかったです。

でも、ほんと、いい曲です。ライヴ・ヴァージョンではさすがよくわかってるというか、クラリネット電気ピアノが全面に出たアレンジで、もうこれはムード歌謡の域ですよ。しかもライヴ・アルバムのど頭、一曲目です。客席からわっと拍手と歓声が起こる中、クラリネットの前奏がスパーッと入ってくる出だし、何度聴いてもいいなあ。

りりィさん、1952年生まれだそうですから、この曲がヒットした当時は、(昨日の記事の小坂恭子さん同様)22歳ぐらいだったことになるんでしょうかね。ほんと、あの頃って、その年頃の女性歌手がすごくオトナに見えました。

慎重を期して付け加えますが、もはやムード歌謡の域だ、というのはほめ言葉です。バックをつとめるのはバイ・バイ・セッション・バンド。メンバーは頻繁に出入りがあったようですが、腕利きが集まった優れたバンドで、わるいはずがないですもん。こういう力量のあるバンドをバックにつけてもらえるのはやはり、りりィさんの歌手としての魅力が大きかったからなんだと思います。