俺にはブルーズを歌う権利なんかない

どこにも所属を持たず仕事/勉強/読書を続けています。2008年、音楽についてメモ代わりに書くためにこのブログを始めました。

ブラック・キャッツ「ドライブ・グッド」

先日書いたブラック・キャッツのファースト『クリーム・ソーダ・プレゼンツ』(1981年)、やっぱとてもいいです。この80年代あたまの空気感、すごく懐かしいです。

解説で森永博志さん(なつかしい名前!)がこんなことを書いていてビックリ(以下、「BC」はブラック・キャッツのこと)。

「ある日、BCを訪ねて、原宿の店にロンドンのパンク・グループCLASHがやってきた。彼らは、自分たちはBCのファンだといい、5年分の会費を払ってBCファンクラブの会員になった。日本のビート・グループのほとんどはCLASHのスタイルをまねたものだったが、CLASHはBCのファンクラブの会員だったのだ。いまでもファンクラブの名簿には彼らの入会のサインが残っている」

ね、すごいでしょ。あのクラッシュがですよ。ブラック・キャッツのファンだったというんですから。クラッシュの音楽も、底のほうには古いロカビリーやR&Bへの共感が流れていて、産業化したロック・ビジネスへのアンチテーゼとかいう以前に、シンプルで向こう見ずなロックンロールには目がなかったんだと思いますよ。日本におけるパンク/ニューウエィヴの支持者ってよくいえば知的、悪く言えば理屈っぽい人が多かったような気がしますが、本家クラッシュが愛した日本のバンドは、どちらかといえば知的じゃない、お勉強の嫌いな少年少女のためのロカビリーバンドだった、という文化的逆説。興味深いものがあります。

おれの自慢のTバードにあの娘を乗せて走る、という「ドライブ・グッド」。出だしは高田誠一さんがさも思わせぶりに歌いだしますが、この曲のメインヴォーカルはオットーさん。ほんとこの人の声って、やけくそな胴間声なんですが、なんとも味があります。「俺はラジオにリクエスト あの娘の好きなナンバーを」というところが、初めて聴いた時「あの娘の好きなマンボを」と聞こえてしまって、マンボをリクエストってそりゃ渋い、と腹を抱えて笑ったんですが、友達が「あの娘の好きなナンバー」と歌ってるみたいだぜ、と教えてくれました。いやあ、なんにせよ独特の発声法です。

連休もこれ聴こう。あとはなんにも要りません。