俺にはブルーズを歌う権利なんかない

どこにも所属を持たず仕事/勉強/読書を続けています。2008年、音楽についてメモ代わりに書くためにこのブログを始めました。

太田裕美「九月の雨」

今年の9月はやけに暑かった気がします。いつになったら涼しくなるんだ、と思いながら仕事してました。ということで、温暖化の進む今日からすると、ちょっと違和感あるかもしれませんね。9月の雨は冷たい、というこの歌。1977年の曲です。

松本隆の詞、作編曲が筒美京平。流麗なストリングスとホーン・セクション、はねるディスコ・ビート、典型的な筒美京平サウンドです。萩田光雄さんが編曲した「雨だれ」や「最後の一葉」の<文芸っぽさ>と比べると、はっきり聴いた感じが違います(ちなみに「木綿のハンカチーフ」の編曲は萩田さんと筒美さんの連名になっています)。

詞の世界も「雨だれ」「赤いハイヒール」「最後の一葉」のあどけない少女らしさから脱して、女子大生/OL的な恋のつらさを歌ったものになっています。必ずしもこの曲を機に裕美さんの歌世界が劇的に変わってしまったというわけではないんですが、ある種岩崎宏美さんみたいな曲を歌いこなせる裕美さんに驚くとともに、あのピアノを弾きながら舌足らずに歌う、<フォークっぽい>太田裕美は演出だったのか…と若干の失望がなくもない、というちょっと複雑な気持ちでしたね。

個人的にはあれですね、高校一年生の秋です。この時点で、自分たちが卒業するときの国立大学の入試方法が決まっておらず、受験に向けた作戦をぜんぜん立てようがない、というまったく勘弁して欲しい状況でした。おまけに当時受けていた通信添削の最新号がいつまで経っても届かず、おかしいなと思っていたら、家族がまったく僕の目の届かないところにしまいこんで放置していた、ということがあって、勉強が頓挫したり。そんなとき、ラジオからこの曲が流れていたりしました。もちろんそんなこと、太田裕美さんにはぜんぜん罪はないのですが、まったくもう、ろくな思い出と絡んでませんね。うん、曲は、今聴いてもとてもいい感じです。