俺にはブルーズを歌う権利なんかない

どこにも所属を持たず仕事/勉強/読書を続けています。2008年、音楽についてメモ代わりに書くためにこのブログを始めました。

松岡きっこのラブ・ラブ25時

昨日はフォークダンスで少子化対策という話でしたが、恋愛の奨励なら、こういう音楽のほうが効果があるんじゃないでしょうか。

田辺信一とアルフレッド・ザ・グレイト・ブラス『松岡きっこのラブ・ラブ25時』(1971年)

これは、完全に勘違いして買ったCDです。イレブンPMの司会でおなじみだった松岡きっこさんの、黒い水着姿のジャケット。「男と女のお話」「X+Y=LOVE」「くれないホテル」「夜明けのスキャット」「経験」などの曲目。てっきり、きっこさんがこれらの曲をシャバダバと歌っているカバー・アルバムだと思いましたが、さにあらず。きっこさんのちょっとHなトークと、歌謡曲のインストが交互に入った、何といえばいいんだろう、朗読と言うか、セクシーなおしゃべりアルバムですね。男の子と女の子が知り合ってホテルに行って、朝を迎えるまでを、きっこさんがムードたっぷりに語ります。演奏は、まあ、ソウルフルといえばソウルフル、ブルージーといえばブルージー、要はサックスがむせび泣く普通の歌謡インストです。

まあ、今だからこそ再発できたアルバムなんでしょう。70年代の終わりには、すでに、演奏が下手でも、まじめに自作自演する歌手こそが創造的であるという俗流の芸術至上主義が音楽の世界を席巻していて、この手のしゃれっ気のある音楽が存在する余地はすでになかったように思います。そしてそのことは、若者が結婚をためらい、こどもを作らなくなったこととも、どこかで関連しているように思うのですが…飛躍しすぎですかね。