森昌子「せんせい」
何年前だったでしょうか、三月に仙台に出張しました。あの時は粉雪まで舞って、意外と寒かった、三月の仙台。研究会のあと、懇親会に出ずに、街に食事に行きました。あれは何町っていうんだろう、アーケード街があって、そこから一本入ったところに小さな居酒屋がありました。「おふくろの味」とか書いてあったけど、僕と変わらない歳の女の人が店をやると、すでに「おふくろの味」なんだなあ、とちょっと驚愕。有線でにしきのあきらや和田アキ子がガンガン流れて居心地よかったですよ。さばの塩焼き、だし巻き卵、冷奴、などなどを食べて、ビールをしこたま飲んで、なんだか常連さんが集まりだしたので、そろそろ帰ろう…と思ってお勘定を済ませて、そのときスピーカーから流れてきた曲。
森昌子「せんせい」
いや~これは沁みた。帰って来てすぐCD店に行ってベスト盤を購入しました。
阿久悠の詞は、よく考えれば逆「ロリータ」というか、一歩間違えばかなり危ない内容ですが、そんなことを微塵も感じさせずに思春期の切ない情景として完結しています。苦労人、遠藤実の曲は、こういう詞だといっそう燃えるんだなあ…よっぽど学校に行きたかったんだなあ…と思わせる完成度。そして森昌子の純粋でまっすぐな歌声。いわゆる「演歌」じゃないですよ。同時代の少年や少女のための、良質なポップ・ミュージックです。
またいつか仙台に行ければと思います。今度は本屋さんも見たいな。