俺は俺の死を死にたい/すてごま
甲本ヒロトと真島昌利。別に彼らの変遷をていねいに追いかけているわけではないのですが、ブルーハーツのベスト盤『singles 1990-1993』を聴きながら、そんなことを思いました。
真島昌利・詞・曲の「俺は俺の死を死にたい」では、こう歌われます。
誰かの無知や偏見で
俺は死にたくはないんだ
誰かの傲慢のせいで
俺は死にたくはないんだ
俺は俺の死を死にたい
オレの生命/生活/人生は消耗品ではないんだ、という直截なメッセージ。この同一のメッセージをヒロトが歌にするとこうなります。
君 ちょっと行ってくれないか
すてごまになってくれないか
いざこざにまきこまれて死んでくれないか
(甲本ヒロト詞・曲「すてごま」)
どうです、この強烈なアイロニー。マーシーの実直さと、ヒロトのクールな反語法。甲乙つけがたい説得力、でもちょっとヒロトのほうに分があるかな、という絶妙のバランス。この2曲の圧倒的な歌/詩としての力の前には、よけいな解説はいっさい必要ありません。