俺にはブルーズを歌う権利なんかない

どこにも所属を持たず仕事/勉強/読書を続けています。2008年、音楽についてメモ代わりに書くためにこのブログを始めました。

沢田駿吾『決定盤!これぞボサ・ノバ』

気温が上がってうららかな土曜の午後、佐川急便のお兄さんがこれを届けに来ました。

沢田駿吾とモダン・ジャズ・オールスターズ『決定盤!これぞボサ・ノバ』(1967年12月1日、4日、7日録音)

昔々、吉田拓郎が「よしだたくろう」の名義で出したファースト・アルバム『青春の詩』が印象に残っています。たくろうといえばフォークの巨匠。しかし『青春の詩』の何が印象的かといえば、「フォーク」の定義におさまり切らないその色彩豊かなサウンドのバラエティでした。そして、「灰色の世界」などのボサ・ノバ調の退廃的な曲でバックをつとめていたのが沢田駿吾gのグループなのでした。

で、今回届いた『決定盤!これぞボサ・ノバ』。これは、日野元彦のdsと、徳山陽のpと、伊集加代子スキャットが、きっちりと義務を果たしているのを聴くアルバムだねえ。とにかくリムを細かくたたくドラムスと抑制の効いたピアノと、何曲かで聴けるスキャットが、60年代「和ボッサ」への期待を満たしてくれます。もちろん沢田駿吾g、池田芳夫b、宮沢昭fl、日野晧正tp、村岡健、西条孝之助ts、小野寺武司per全員が過不足ない働きをしていて、大変聴きやすい和製ボッサ・アルバムに仕上がっています。「マシュ・ケ・ナダ」「黒いオルフェ」「おいしい水」「イパネマの娘」といったラテン/ボサ・ノバ曲のほか、「男と女」「フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン」「いそしぎ」といった曲が聴けます。どの曲もクールにきりりと引き締まったアレンジ。これを繰り返し聴いて、気持のいい夕方でした。