男と女
SF作家として知られるH・G・ウェルズとの出会いのエピソードが面白い。ロンドン滞在中の新渡戸が「東洋の進歩」と題するウェルズの講演を聴きにいったとき、彼は講演に先だってウェルズに紹介され名刺を差し出す。だが、ウェルズは受け取った名刺をすぐにポケットに入れてしまう。そうこうしている間に講演は始まった。
ウェルズは講演の中で日本人の国民的特質に触れ、新渡戸の『武士道』にやや批判的な解釈を与えた。質疑応答の席上、司会者は「中国人紳士が一人おいでだが」と言って、新渡戸にコメントを求めた。新渡戸は「『武士道』について下された啓蒙的解釈を、ウェルズ氏に感謝したく思います。それは私の若い時の本ですから」と言った。それを聞いたウェルズは、ポケットを探って名刺に目をやったという。[…]
拾っておく。書庫から持ってきた本。ほかにもスタインベック『怒りの葡萄』、ベロー『ハーツオーク』も。
The Grapes of Wrath (Penguin Modern Classics)
- 作者: John Steinbeck,Robert DeMott
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- 作者: Saul Bellow,Walter Hasenclever
- 出版社/メーカー: Fischer Taschenbuch
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このところ堕落した生活を送っていて、本が読めない。キンドルのなかにどんどんたまっていく洋書を、じりじりしつつながめている。
ラジオで野宮真貴がしゃべっていた。子供時代を札幌で過ごし、東京に転校、そのあとまた室蘭にやってきて三年過ごし…という転校生生活の、その室蘭のころの話と思うけれど、家具調のステレオを父が買い、野宮さんのためにM・ポルナレフのシングル、セルジオ・メンデス、カーペンターズのLPを買ってきたという。まだ中学生になるかならないかの野宮さんが、英語、フランス語、ポルトガル語の歌詞をカナで書き起こし、歌う…渋谷系はこうして北海道で生まれた…というややとっぴなことを考えるのも、とても楽しい。今回の「男と女」のカヴァーは、秀逸。
盛岡出身の新渡戸が、東京のさまざまな学校で英語修行し、当時の先端校だった札幌農学校へ入学…というのは、ほとんど〈留学〉だったんだろうな、と思ったり。いまだに未開の外地としての顔を持つ、わが北海道。
野宮真貴 / 男と女 [en duo avec 横山剣 de クレイジーケンバンド]