俺にはブルーズを歌う権利なんかない

どこにも所属を持たず仕事/勉強/読書を続けています。2008年、音楽についてメモ代わりに書くためにこのブログを始めました。

男と女

 SF作家として知られるH・G・ウェルズとの出会いのエピソードが面白い。ロンドン滞在中の新渡戸が「東洋の進歩」と題するウェルズの講演を聴きにいったとき、彼は講演に先だってウェルズに紹介され名刺を差し出す。だが、ウェルズは受け取った名刺をすぐにポケットに入れてしまう。そうこうしている間に講演は始まった。

 ウェルズは講演の中で日本人の国民的特質に触れ、新渡戸の『武士道』にやや批判的な解釈を与えた。質疑応答の席上、司会者は「中国人紳士が一人おいでだが」と言って、新渡戸にコメントを求めた。新渡戸は「『武士道』について下された啓蒙的解釈を、ウェルズ氏に感謝したく思います。それは私の若い時の本ですから」と言った。それを聞いたウェルズは、ポケットを探って名刺に目をやったという。[…]

 

英語達人列伝―あっぱれ、日本人の英語 (中公新書)

英語達人列伝―あっぱれ、日本人の英語 (中公新書)

 

  拾っておく。書庫から持ってきた本。ほかにもスタインベック怒りの葡萄』、ベロー『ハーツオーク』も。

 

The Grapes of Wrath (Penguin Modern Classics)

The Grapes of Wrath (Penguin Modern Classics)

 

 

 

 

怒りの葡萄〔新訳版〕(上) (ハヤカワepi文庫)

怒りの葡萄〔新訳版〕(上) (ハヤカワepi文庫)

 

 

Herzog

Herzog

 

 

 

ハーツォグ 上 (ハヤカワ文庫 NV 257)

ハーツォグ 上 (ハヤカワ文庫 NV 257)

 
ハーツォグ (下) (ハヤカワ文庫 NV 258)

ハーツォグ (下) (ハヤカワ文庫 NV 258)

 

 

 このところ堕落した生活を送っていて、本が読めない。キンドルのなかにどんどんたまっていく洋書を、じりじりしつつながめている。

 ラジオで野宮真貴がしゃべっていた。子供時代を札幌で過ごし、東京に転校、そのあとまた室蘭にやってきて三年過ごし…という転校生生活の、その室蘭のころの話と思うけれど、家具調のステレオを父が買い、野宮さんのためにM・ポルナレフのシングル、セルジオ・メンデスカーペンターズのLPを買ってきたという。まだ中学生になるかならないかの野宮さんが、英語、フランス語、ポルトガル語の歌詞をカナで書き起こし、歌う…渋谷系はこうして北海道で生まれた…というややとっぴなことを考えるのも、とても楽しい。今回の「男と女」のカヴァーは、秀逸。

 盛岡出身の新渡戸が、東京のさまざまな学校で英語修行し、当時の先端校だった札幌農学校へ入学…というのは、ほとんど〈留学〉だったんだろうな、と思ったり。いまだに未開の外地としての顔を持つ、わが北海道。


野宮真貴 / 男と女 [en duo avec 横山剣 de クレイジーケンバンド]