俺にはブルーズを歌う権利なんかない

どこにも所属を持たず仕事/勉強/読書を続けています。2008年、音楽についてメモ代わりに書くためにこのブログを始めました。

ファンカデリック「俺たちロックもお手のもの」

昨日に引き続いてファンカデリック『ワン・ネイション・アンダー・ア・グルーヴ』のお話。その中に"Who Says a Funk Band Can't Play Rock?"という、ロック・テイストあふれる曲が収められています。いわく「ジャズ・バンドにゃダンス・ミュージックが演奏できない?ロック・バンドはファンキーに演奏できない?ファンク・バンドにゃロックは演奏できない?そんなこと誰が言ってんだ?」。要するに音楽をカテゴライズすることに何の意味があるんだ?という。僕はこの曲が死ぬほど好きで、近田春夫さんが神戸のAM局でやっていたDJ番組にリクエスト葉書を出しました。そしたら近田先生、ちゃんと葉書を読んで、この曲をかけてくれました。そのとき、日本盤ではこの曲の邦題が「俺たちロックもお手のもの」となっている、ということを知りました。ただし、このLPの邦盤ってのを手にとって自分で確認したことはありません。

きのうも書いたとおり、切り裂くようなギターがファンカデリックの特徴ですが、この曲がまさにそうです。弾いているのは二代目ギタリスト、マイケル・ハンプトン(同名のパンクミュージシャンがいるようですので要注意です)。今、検索して驚くのは、ウィキペディアにちゃんとマイケル・ハンプトンという項目が立てられていることです。これはびっくり。17歳でファンカデリック入りし、前任のエディ・ヘイゼルのソロをカンペキに弾きこなしたというファンクの秀才。彼のジミ・ヘンドリックス風味のギターソロがたっぷり聴ける一曲です。水も漏らさぬ手堅い演奏でありながら、このぶっ飛びよう。ジミヘンは好きだけどファンクは苦手(そんな人いるのか)なんて人は、偏見を持たずに聴いて欲しいと思います。外見、先入観、決め付け、といったものがいかに偏狭で底が浅くてくだらないかを、僕はこの曲を通じて教わりました。そうです、今や手垢にまみれた言葉ですが、こういう音楽を形容するためにこそ使えばいいんじゃないでしょうか。越境。