俺にはブルーズを歌う権利なんかない

どこにも所属を持たず仕事/勉強/読書を続けています。2008年、音楽についてメモ代わりに書くためにこのブログを始めました。

ファンカデリック「ワン・ネイション・アンダー・ア・グルーヴ」

ころころとよく鳴るビート。単純そうでいて、ギターやパーカッションは複雑なリズムを刻んでいます。でもってこの歌詞。

Here's the chance to dance our way

Out of our constriction

Gonna be freakin' up and down

Hung up alley way

With a groove our only guide

We shall all be moved

Ready or not here we come

Getting  down on the one which we believe in

要するにファンクの旗の下にブラック・ピープルは団結しようぜ、という歌詞です。1978年、ファンカデリックの記念碑的名盤『ワン・ネイション・アンダー・ア・グルーヴ』のタイトル曲。タイトル自体が「ワン・ネイション・アンダー・ゴッド」というアメリカ建国の理念の換骨奪胎です。これ、80年代に入ってから輸入LP店でカットアウト盤(投げ売りのためにジャケットの端をわざと切り落としてきずものにしたもの)で手に入れて、すり切れるほど聴きました。レコード袋に歌詞が印刷されていて、ほんと暗記するほど読みましたですね。

ジョージ・クリントンが率いる二つの大所帯バンド、パーラメントファンカデリックパーラメントのほうは悪の親玉とファンク戦士たちとの闘争を語った架空の宇宙史みたいなもので、そっちのほうはあんまり詳しくないんです。で、切り裂くようなギターをフィーチャーしたロック寄りのファンクを演奏するのがファンカデリック。どっちかと言えばそっちをよく聴きました。この二つのバンド、略して「Pファンク」と呼ばれます。『ニュー・ミュージック・マガジン』の「ニュー」がとれて誌名変更されるかされないかぐらいの時期に大々的な特集があって、僕らが関心持つようになったのはそれからですね。ファンカデリックのアルバムはたしか3枚くらい持ってましたけど、この盤の聴き応えは特筆ものです。ビートルズやなんかに負けないくらいの濃厚なコンセプト・アルバムです。

深夜2時ごろには史上初の黒人系アメリカ大統領が就任演説を行います。オバマ氏の雄弁術とあわせて、このアルバムの何曲目かで聴かれる「アイスクリームのフライこそが現実だ」という一節も、やはり忘れてはなりません。アイスクリームのてんぷら、ってわかりますか。アイスクリームにころもをつけて、一瞬熱い油に浸してさっと揚げるので、溶けないっていうへんな料理がありましたよね(今でもあるのかな)。つまり世界はそんなふうに矛盾だらけで、一筋縄じゃいかない、という。これは忘れないな。今こそ聴くべし、Pファンク。