俺にはブルーズを歌う権利なんかない

どこにも所属を持たず仕事/勉強/読書を続けています。2008年、音楽についてメモ代わりに書くためにこのブログを始めました。

Toshi&Naoko「夏ざかり ほの字組」

1985年、というから僕は普通の会社の2年生。毎日、「なんでこんな当たり前のことができないんだ」って叱られていました。ほんと、つらかったですね。

だったら、さっさと辞めて、早く大学に入りなおしていたらよかったのかというと、そうでもないような気がするんです。あのとき、一定の時間はかかったけれど、自分の「可能性の狭さ」みたいなものを徹底して思い知ったがために、その後、性根をすえて勉強しなおすことができた、という気が強くします。すぐに辞めて母校に帰って研究生とかやってたら、かえって先が見えない生活になっていたはず。

で、「夏ざかりほの字組」。田原俊彦さんと研ナオコさん、当代一の男性アイドルと、芸達者な年上の女性バイプレイヤーという取り合わせです。もちろん、郷ひろみさんと樹木希林さんの「お化けのロックンロール」「林檎殺人事件」のコンセプトが下敷きになっているはず。郷さんと樹木さんの楽曲もとても楽しいですが、Toshi&Naokoの取り合わせは、またひとあじ違った色っぽさに満ちています。蒸して暑いし、お盆も近いし、仕事早仕舞いして飲みに繰り出すぜ、というときなんか、この曲が流れてるとぴったりって感じでしたね。夏なんだからみんな恋愛して燃え上がりましょう、という曲です。作詞・作曲は阿久悠筒美京平という取り合わせでした。

普通の会社ってのも、若いお兄さんお姉さんがいっぱい勤めてますから、恋の花が咲いたりするわけなんですね。でもまあ、僕はそういうのにも入れてもらえなかったしなあ。本屋さんとレコード屋さんとジャズ喫茶が楽しみという男の子は、もてないんですね、見事なまでに。夏というと、日曜日、照りつける街へ出かけて、ジャズ喫茶でコルトレーンを聴いてました。やっぱ早く辞めたほうが正解でしたかね、普通の会社。