俺にはブルーズを歌う権利なんかない

どこにも所属を持たず仕事/勉強/読書を続けています。2008年、音楽についてメモ代わりに書くためにこのブログを始めました。

アンドリュース・シスターズ「素敵なあなた」

「素敵なあなた」って、タイトルが素敵。ちゃんと結婚相手を見つけて、結婚して、「あなた」なんて呼ばれたかったなあ…。

アンドリュース・シスターズのベスト、LPで持ってました。ちょうど20年前かなあ、アナログからCDへ切り替わる時期で、洋盤屋さんに行くとこの手のLPが1300円ぐらいで売ってて、買っちゃいました。その後あんまり聴きこまないうちにCDの時代へ突入し、LP持ってるのにCD買うほどでもないかな…と思ううちに幾星霜。今になってようやく、iTunesStoreで「素敵なあなた」一曲だけ買いなおして聴いています。

Bei Mir Bist Du Schoen「私のもとではあなたは美しい」ってドイツ語かあ…というぐらいの認識で聴いてたんですが、英語のウィキペディアを眺めてて、腰を抜かすほどびっくり。原曲はなんとイディッシュ語のミュージカルのための曲(1932)だったそうです。うへー。アポロ劇場でそれを聴いていたサミー・カーンという人が感銘を受けて、雇い主に曲の版権を買い取ってもらい、英語の詩をつけスイング風にして、アンドリュース・シスターズに歌わせた、みたいなことが書いてありますな。たしかに、アフリカン・アメリカンのブルーズ・フィーリングとは全然別の哀愁がある旋律です。

筒井康隆『男たちのかいた絵』という連作集が、たしか全編ジャズのスタンダードの邦題を使った短編で構成されていたはずです。もうずいぶん前に読んだ本なんで他は思い出せないんですが、昔の人が洋楽につけた邦題って情緒あるものが多くて、この場合も、つけもつけたり「素敵なあなた」。このメロディ、歌声にぴったりです。秋の夕暮れ、TVを消して、しみじみ聴いてます。