俺にはブルーズを歌う権利なんかない

どこにも所属を持たず仕事/勉強/読書を続けています。2008年、音楽についてメモ代わりに書くためにこのブログを始めました。

Party Time~バートランド・ラッセルの中に80年代の余韻を見つけた冬の日

Malinowski found it quite impossible, in spite of his best argumentative efforts, to persuade his friends on the islands there is such a thing as paternity. They regarded this as a silly story invented by the missionaries. Christianity is a patriarchal religion, and cannnot be made emotionally or intellectually intelligible to people who do not recognize fatherhood. Instead of 'God the Father' it would be necessary to speak of 'God the Maternal Uncle,' but this does not give quite the right shade of meaning, since fatherhood implies both power and love, whereas in Melanesia the maternal uncle has the power and the father has the love. The idea that men are God's children is one which cannot be conveyed to the Trobriand Islanders, since they do not think that anybody is the child of any male.

 

Russell's Best

Russell's Best

 
Bertrand Russell's Best (Routledge Classics)

Bertrand Russell's Best (Routledge Classics)

 

  寒い日が続く。バートランド・ラッセル、50ページほど。なるほど読みやすい、というのは、この人自身、わかりやすく書くことを心がけていた人だったらしいから。

 それにしても、上の部分など、もっと早くに読んでいたかった。80年代に何やかやで人類学が知的ブームみたいだった頃、この辺はひと通り通俗的な本で読んだ気がするけれど、この人がこんな形で触れているとは知らなかった。

 要は、母系制社会では、父なる神という概念は通用せず、しいて言えば「母方の伯父なる神」と言わねばならないけれど、それだと「権力と愛をかねそなえた父」のニュアンスが失われてしまう。母方の伯父が権力を持ち、実の父はむしろ家庭の外にいて、子を甘やかす役割を持つ社会だから、伝わらないのだ。栗本慎一郎氏や山口昌男氏も、この一節のことは当然踏まえていたりするんだろうか。

 他にも、古生物学、天文学、霊長類学などに触れた文章がいくつも収められていて、いろいろ面白い。ダーウィンなんか、著作権が切れてタダで読めるといったことをモギケンが言っていたけれど、天文学者や古生物学者になりたかった元子どもとしては、俄然興味がわくんだよなあ。

 文章はやさしいが、高校生・大学1,2年生だと、かなり辞書を引くことになるだろう。そこで集中力を切らさないことが肝心だ。これをきっかけにblasphemy(冒瀆) recalcitrant([病気などが]厄介な) fornication(姦淫)といった語を知れば、その後の読書に弾みがつくと思う。一〇代のうちにこれを半分でも読めれば、たいしたものだ。

 明日は外出の予定も少しあるけれど、読み終えるだろうか。CCガールズのベスト盤、欲しいなあと思いつつ迷う。こういうときはITunesStoreで一曲だけ買ってがまんするが、これは検索してもおいてないので、中古CDをゲットするしかない。時代から言っても、ぼくの年齢から言っても、ムンムンしてたあの頃。日本経済は自分がまさかGDP世界二位から陥落する時代が来るとは夢にも思わずに、祭りのあとの余韻の中を自己満悦的に滑空していた。ぼくは大学院生で、大学内の喫茶部にも、藤森夕子青田典子みたいなおねえさんがいたのを憶えている。


C.C. ガールズ Party Time 1994