湖の決心
「あんたまだ読んでなかったのか」本を少しずつ「既読」にしていく。膨大な時間がかかる。でもやるしかない。一冊読み終わるたびに、その分だけ救われた気になる。
この冬、ソルジェニーツィンを読むとあるところで宣言したけれど、それは積み残しのまま春を迎えるだろう。
皆がとっくに通った道をとぼとぼ歩いてゆく。若いころ遊びほうけたから(その自覚はないのだけれど、そうとしか思われていないだろう)、仕方ない。こういう日がずっと続く。
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老母と喧嘩せずに過ごす方法は、とにかく進んで相槌を打つことだ。とんちんかんでかみ合わない場合でも、いったん「そうそう」と肯うこと。これだ。「ノラ猫がまた来てるわ」「そうそう」「ぷいといなくなったから死んだのかと思ってたけど」「そうそう」「お昼はチャーハンにする? それともうどん?」「そうそう」「面倒だわ。ふりかけで食べて」「そうそう」「ツタンカーメンは仮面をかぶってるからツタン仮面ていうのかい」「そうそう」「指圧に行ってくるわ」「そうそう」「一時間たったら迎えに来て」「そうそう」「いいわ、歩いて帰ってくるから」「そうそう」。
あと、老母が近所のおばさんたちとひとしきりおしゃべりしてくるのは、あれは「ゼミ」なんだと気づく。事実、町内のうわさのたぐいをこと細かにアップデートして帰ってきて、満足そうだ。
ゼミとは頭を使って大いにしゃべること、と知人の指導教授はむかし言ったそう。なんとなくうらやましかった。そういう「ゼミ」の相手が、ぼくの場合、今のところまわりにいないのが、やはり悩み。
- 作者: Brian Holmsten,Ray Bradbury,Ben Bova,Alex Lubertozzi,John Callaway
- 出版社/メーカー: Sourcebooks Media Fusion
- 発売日: 2003/10
- メディア: ペーパーバック
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