ラウンド・ミッドナイト
二、三週間に一度のペースでドイツ文化センターの図書館に出掛け、置いてある五種類の日刊紙と何種類かの週刊誌を駆け足で読み飛ばす、などという愚かな習慣を身につけてしまった人間にとっても、二〇〇一年九月一一日は鮮烈な印象を残す日付けとなった。(藤野寛『アウシュヴィッツ以降、詩を書くことだけが野蛮なのか アドルノと〈文化と野蛮の弁証法〉』、平凡社、2003年、51頁)
これは9・11のテロ以降、人間の認識の参照枠ががらりと変わってしまったことを述べた文章の冒頭ではあるのですが、いつまでたっても〈あすなろ語学者〉である自分としては、前段の、「五種類の日刊紙と何種類かの週刊誌を駆け足で読み飛ばす」というところにビビッと反応し、忘れられない一節となっています。
たいていの人は、ネット上の新聞のたぐいを利用するという風に変わってきつつあるんでしょうけれど、自分は今でも英語週刊誌、ロシア語週刊紙、各一部が家に届くという生活。自分で取ってるとお金もバカにならず、何より、読まずに溜まっていって口惜しい思いをします。管理というか、捨てる、捨てないの判断も厄介。こういうのを読みに行ける文化センターなり大学の図書館というのがうらやましいですね。
勤めているときは、勤務を持っているから読む時間がないんだろう、という風に考えていましたが、家にいるようになった今でも、外国語の新聞雑誌を読む時間というのは、よほど意識しないと捻出できないですね。
英語週刊誌は一年(というか10か月?)ぐらい、来たその日にはじめからおしまいまで読む、というのを励行しましたが、途中お茶飲んだり、トイレ行ったり、6時間ぐらいかかりますね。あのころは英字新聞もとっていて、一時期、ふつうの日は英字新聞を読み、英字週刊誌が来る月曜はそれを読む、という毎日で、そんなことやってるもんだから、かんじんのロシア語の読解力、ガタ落ち。
で、せっかくヨーロッパ経由で届くロシアの新聞、捨てるのももったいないので、目を通すことにしました。ただし、「駆け足で読み飛ばす」のではなく、同じ記事を5,6回読み返しています。これでも、読解力が戻るまで、数年かかるでしょうな。外国語を三つも四つもは常人には無理、というのを、この歳になって思い知りつつあります。
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先日、ひさびさにドトールへ寄ったのですが、アイスコーヒーのLがあまりにデカいのでなんだか愉快でした。で、レジ脇のパック入りの無糖のアイスコーヒーというのを買ってみました。連休が来るから、こんなの飲みながらバド・パウエルやビル・エバンスを聴いて仮想ジャズ喫茶ごっこ…と思ったのですが、それまでもたないや。うん、これは普通の無糖のアイスコーヒーですね。そこらで売ってるのと、まあそんな変わらないな。
最近、早朝起きられないですが、またやりますよ、早起き。ジャズメンにとっては朝三時、四時ごろってディープな「深夜」なんでしょうが、ぼくにとって、この時間に外国語を読むのは朝一番の魚河岸仕事。数か月で止めちゃうのももったいないので、事情が許す限り続けます。
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