俺にはブルーズを歌う権利なんかない

どこにも所属を持たず仕事/勉強/読書を続けています。2008年、音楽についてメモ代わりに書くためにこのブログを始めました。

東京大衆歌謡楽団「上海帰りのリル」

行って来ました、東京大衆歌謡楽団の公演。

素晴らしかった!としかいえません。CDやネット画像ではちょっとわからないウッドベースの高鳥玲の存在感、ホールのライヴではことのほか大きかったことが印象的。さらにメリハリの利いた高島弟のアコーディオンが安手の「のど自慢」感覚に堕さない端正さ。そして高島兄が思ったとおりの朗々たるノド。

メモ帳を持っていって曲目を完璧にメモって来ればよかったです。でも、そういうものをこういう場に公開して「ネタバラし」めいたことをするのは無粋かもしれません。一曲ごとに会場を埋め尽くすおじさんおばさんから上がる嘆声は、予備知識なしだからこそという側面もあるでしょうから。標題の「上海帰りのリル」への入っていき方なんか絶妙でしたもん。これだけで半ば「ネタバラし」になっていますので、これ以上はあえて書きません。ただ、意外な切り口からT村謙の名が告げられ「T村謙ってあの…」とオーディエンスが思うまもなく高島兄の「リル、リル」のうたごえから曲になだれ込んでゆく…スリリングでした。

ラストは(これもネタバレ?)アンコールでやるはずの「憧れのハワイ航路」を早めにやってしまって、曲を使い尽くした、と思わせておいて、東海林太郎「赤城の子守唄」で締めくくる、という、さいごまで聴いてる人を飽きさせないサービス精神の旺盛さ。会場は大満足です。

さいご、観客出口と楽屋入り口が近かったので、まちがえて楽屋に入りそうになりましたが、楽屋に押しかけて記念写真撮るほど図々しくないしね。でも、アコーディオンの高島弟氏とベースの高鳥氏に「ブラボー!素晴らしかった」と声をかけました。高島さんが大変な長身なのにびっくり、高鳥氏のはにかんだ笑顔が印象に残りました。

東京大衆歌謡楽団。またどこかでお会いしましょう。素晴らしい秋の夜でした。

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(追記 会場となったタウンホールからすぐのところにかつて本物の劇場があり、T村謙さんが来演し「上海帰りのリル」を歌ったことがある、と年配の方から聞きました)