俺にはブルーズを歌う権利なんかない

どこにも所属を持たず仕事/勉強/読書を続けています。2008年、音楽についてメモ代わりに書くためにこのブログを始めました。

中森明菜「さよならをするために」

クリスマス・イヴですか…

ひとりきりのクリスマス・イヴにももう慣れっこになってしまって、この時期はクリスマスという以上に、短い冬休みの始まり、というのが嬉しいですね。ふだんはまとまった量の本なんか読む時間はないから、10日近い時間があればあれも読める、これも読める…と楽しみなんですが、きっとまた、蕎麦食べてビール飲んでるうちにあっという間に過ぎちゃうんだろうな。

中森明菜さんが日本のフォークのスタンダードを歌ったアルバムを出したんですね。先日、アマゾンのトップページに出てきて、注文しようかとちょっと迷ったんですが、結局注文せず。今日、例によってiTunesStoreで検索してて、ふたたびこれに遭遇しました。「私は泣いています」に「22歳の別れ」に「わかってください」等々、これ以上ないど真ん中な選曲です。で、寂しい中年男のクリスマスだから、自分へのご褒美に丸ごと買っちまおうか、と思ったんですが、あえてぜいたくなケチり方をして、「さよならをするために」一曲だけ買いました。ご存知ビリーバンバンの大ヒット曲。石坂浩二さんの詞がなんともオトナな一曲です。

いえね、試聴してみて、この声のかすれ方にヤラれました。もう、昔みたいに伸びやかでまっすぐな声は出ないんでしょう、「過ぎた日の悲しみをみんな君にあげる あの日知らない人が今はそばに眠る」の「いま~は」の部分で声がかすれるんですね。その痛々しさ。

いやあ、こんなベタな選曲、商売当て込んじゃって…という見方もできるんでしょうけど、僕は明菜には点数の甘いオールドタイマーですから、そういう見方は取らないのです。たしかにあざといといえばこれ以上あざとい企画ってないですよ。でも、僕たちの明菜が、実人生でぼろぼろに傷つきながら、まだこんなに情感たっぷりに歌ってる。寂しい中年男性にとって、これ以上の励ましってないですもん。最高のクリスマス・プレゼントですよ。どんなにあざとくたっていい、明菜よ、歌ってください、歌い続けてください。僕もこのしんどい日々を、生きられるだけ生きていきます。