俺にはブルーズを歌う権利なんかない

どこにも所属を持たず仕事/勉強/読書を続けています。2008年、音楽についてメモ代わりに書くためにこのブログを始めました。

平松愛理「部屋とYシャツと私」

1992年3月にシングルカット、ということは、僕が一番音楽から遠ざかっていた時期。のはずなんですけど、これ、短冊形のCDシングル、持ってましたね。まだ時代の空気は史上空前の資産インフレ景気(バブル)のそれでした(バブル景気の終わりは1991年2月だそうですが)。というわけで、女の人がなかなか結婚しようとしなくなった時代の、求婚承諾の歌と思われます。平松愛理部屋とYシャツと私」。

僕はスカンピンの万年学生でしたけれども、自分も何とか将来は、職について、結婚して家庭を持つことぐらいはできるだろうなと思っていました。そういう若者(というほど若くなかったですが)にとってはいくつか有益な示唆を含む歌詞でした。あんまり連日のんだくれて帰宅してはダメだ、とか、洋服を買ってあげてお洒落をさせなければ愛想を尽かされる、とか、ウソはうまくつけ、さもないと毒殺されかねない、とか…。ドリーミーなワルツにのって、本気と冗談すれすれの「お願い」が続きます。わたしは家庭を守るから、適度のお洒落と贅沢ををさせて、というところでしょうか。

この曲では「あなたの苗字になるわたし」という穏当な表現が使われていますが、のちに一緒に勉強していた女子の大学院生たちのひとりが、<結婚する>ことを<めしたき女になる>と表現していて、びっくりしましたね。もとは橋本治さんの小説かなんかにそんな表現があったんだと思います。でもまあ普通、「絶対キミを幸せにするから」とか言いますよね。「オレんとこ来て毎日めし作ってくれよ~」とは言わないですわな。…なんか書いてるうちにおなかがすいてきました。誰かご飯作ってくれないかな。女性の皆さん、オトコを落とそうと思ったらメシですよ、メシ。あ~腹減った。