俺にはブルーズを歌う権利なんかない

どこにも所属を持たず仕事/勉強/読書を続けています。2008年、音楽についてメモ代わりに書くためにこのブログを始めました。

歌謡曲の1968年

今日は若い人にロシア人の名前がどうなっているか、という講義をしました。ロシア人の名前は三つの部分からなります。たとえば、作家・劇作家の

アントン・パーヴロヴィッチ・チェーホフ

の場合

「アントン」は「名」です。「チェーホフ」は「姓(苗字)」。では真ん中の「パーヴロヴィッチ」は?

この真ん中の「パーヴロヴィッチ」は「父称」といいます。お父さんの名から自動的に決まるもの。父称が「パーヴロヴィッチ」、ということはお父さんは「パーヴェル」だということです。

この説明をひととおりした後、「お父さんと同じ名前がつけられた場合、『イワン・イワーノヴィッチ』とか、『アントン・アントーノヴィッチ』とかになりますよ。まあ、日本では父と子が同じ名前ということはあまりないですけどね」と話を締めくくりました。

帰宅してNHKの歌謡番組を見ていたら、あれま!亡くなったはずの黒木憲が歌ってる。「霧にむせぶ夜」を歌ってる。

もちろん亡くなった人が今生中継で歌っていたらオカルトですわな。黒木さんの息子さんの歌手、唐木淳さんが「黒木憲ジュニア」と父の名を継いで活動しているんですね。歌もズバリ「霧にむせぶ夜」。ソフトな声質がお父さんにそっくり。聴きほれてしまいました。

黒木憲さんの「霧にむせぶ夜」は1968年のヒット曲。動乱の年ですが、この年の歌謡曲はすごいです。ピンキーとキラーズ「恋の季節」、いしだあゆみブルーライトヨコハマ」、パープルシャドウズ「小さなスナック」、ヒデとロザンナ「愛の奇跡」などなど。なんせ「霧にむせぶ夜」がオリコンで一位を取れなかったほどの年ですから(最高位はピンキー&キラーズとサイモン&ガーファンクルに阻まれて3位だそうです)。

2年前でしたかね、大みそか、「紅白歌合戦」を観ながらビールを飲んでいて「いつになったら黒木憲水原弘が出てくるんだ」と言っていたら、老母が「お前ほんとに酒癖がわるいねえ」。たしかに。でも、いつかTVで観た、トレンチコートをダボッと着込んで、ポケットに手を突っ込んだまま、一発ヒットを大切に大切に歌い上げる黒木憲、かっこよかったなあ。僕も1968年には大学生ぐらいでいたかったなあ。