俺にはブルーズを歌う権利なんかない

どこにも所属を持たず仕事/勉強/読書を続けています。2008年、音楽についてメモ代わりに書くためにこのブログを始めました。

ノアノア気分

'’What was the subject?' I asked.

'I scarcely know. It was strange and fantastic. It was a vision of the beginnings of the world, the Garden of Eden, with Adam and Eve -que sais-je? it was a hymn to the beauty of the human form, male and female, and the praise of Nature, sublime, indifferent, lovely and cruel. It gave you an awful sense of the infinity of space and of the endlessness of time. Because he painted the trees I see about me every day, the coconuts, the banyans, the flamboyants, the alligator pears, I have seen them ever since differently, as though there were in them a spirit and a mystery which I am ever on the point of seizing and which for ever escapes me. The colours were the colours familiar to me, yet they were different.[...]

 

The Moon and Sixpence (Dover Thrift Editions)

The Moon and Sixpence (Dover Thrift Editions)

 
The Moon and Sixpence

The Moon and Sixpence

 
The Moon and Sixpence

The Moon and Sixpence

 

  『月と六ペンス』、読み終えるか終わらないかのうちに、書庫へ行った。夕暮れちょっと前で、暗くなっちゃうと明かりがないので本探しはできない。幸い、あった。『ノア・ノア』。

 この小説では英国人となっているけれど、主人公ストリックランドのモデルがゴーギャンであることは周知の事実。で、ゴーギャンの『ノア・ノア』は買って持っているのはおぼえていたんだ。

 たしか職についてすぐだったんだ。100ページくらいの、うすい文庫本。これが読めなかったんだよ。なんというか、あの頃は本は買えるんだけれど、本が、心を開いてくれなかった。あわただしい就職で、こちらがそれだけ気持ちの余裕を失っていたということだけれど。

 で、立て続けに読んだ。間を置かないと、あとで、何がどっちに書いてあったかごっちゃになることはわかっている。というか、二冊の本がドロドロに溶けあって、区別がつかなくなるように、わざと立て続けに読んだんだ。ゴーギャンは『ノア・ノア』のなかで、きわめて客観的にマオリの人々の宇宙創世神話を記述しているけれど、それもさることながら、若い男女の現地人のしぐさや振る舞いに立ち込める強烈な始原の香りこそが「ノア・ノア」だと思ったな。「ノア・ノア」とは、マオリ語で「香気ある、香ばしい」の意である由。

 いろんなことを考えさせられる一節。ロシア・フォルマリストたちはこれ、読んでたんだろうか。

 

ノアノア (ちくま学芸文庫)

ノアノア (ちくま学芸文庫)

 
ノア・ノア―タヒチ紀行 (岩波文庫)

ノア・ノア―タヒチ紀行 (岩波文庫)

 

 


久我直子 ノアノア気分

 

 

 

 

 

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