俺にはブルーズを歌う権利なんかない

どこにも所属を持たず仕事/勉強/読書を続けています。2008年、音楽についてメモ代わりに書くためにこのブログを始めました。

誘惑されて棄てられて

まあ、僕の趣味も俗っぽいですからね。休みの日は小西康陽プロデュースの夏木マリさんのシャンソンふうのアルバムなんかを聴いて喜んでます。中でも一番よく聴いたのが『戦争は終わった LA GUERRE EST FINIE』というアルバムでしょうか。このアルバムの「誘惑されて棄てられて」(小西康陽・詩・曲)はとてもよくできた一曲。

男に棄てられた女が都会に出てきて、小さな酒場で一生懸命働いて、そこで内気そうな青年と出会い結ばれる。男は女のアパートに転がり込んでくるが、朝目覚めたら男の姿はない、せっかく貯めたお金も消えている…という、ある意味とっても残酷な物語を、夏木マリさんが感情過多にならずに淡々と歌います。

誘惑されて棄てられて

誘惑されて棄てられて

ほんとによくあるお話で

このつきはなしたような語り口がかえって「女って損よね/男ってずるいわよね」という言外のニュアンスを生み出していて、深い味わいがあります。こんな歌を歌えるんだから、夏木マリさん、さすが大人のオンナですね。伴奏をつけるアコーディオンの控えめさもグッド。

土曜の午後はこんなアルバムを聴いてけだるくぼんやり過ごすのもいいですよ。なかなかいい時間が過ごせますが、あんまりこれをやると週が明けても仕事に行きたくなくなりますからご注意を。