俺にはブルーズを歌う権利なんかない

どこにも所属を持たず仕事/勉強/読書を続けています。2008年、音楽についてメモ代わりに書くためにこのブログを始めました。

プリティー・プリティー~ぼくのなかの遠い九州の文学的な血がさわぐ

 杉山茂丸は、頭の大きな人だった。私も父によくその家に連れていってもらった。そこの応接間の小さな木彫りの置物を私がいじっていると「あげるよ」と言われ、図々しくもらってきてしまった。しかし、すぐ父に取りあげられてしまった。きっと、だれかへの手みやげとし、「杉山先生からいただいたものだ」と、もったいをつけ、利用したにちがいない。

 家のなかの父の書棚には、洋書のほかは、政治経済の本ばかりが並んでいた。そのなかにひとつ「ドグラマグラ」という本がまざっていた。私にも読めるかと開いてみたが、わけのわからぬ内容。しかし、この奇妙な語感は、メガペロニーとともに、形容しがたいものがあった。あとで知ったが、その著者の夢野久作は、杉山の長男だったのである。

 

祖父・小金井良精の記 上 (河出文庫)

祖父・小金井良精の記 上 (河出文庫)

 
祖父・小金井良精の記 下 (河出文庫)

祖父・小金井良精の記 下 (河出文庫)

 

  この辺を調べる日は、ぼくの場合はいますぐ来そうにはないのだけれど、拾っておこう。

 こうして北海道に暮らしつつ、九州もぼくのルーツの一つであり、老母もまた、大陸から引き揚げ後、九州のおんなで一生を終わっていたかもしれない人間で、また、新聞記者をしていた先輩が九州に赴任し、北海道との共通点が多いことに驚いた、と言っていたことなどもあって、九州の思想/文学というものは、どこか完全な他人ごとではない気がすることはたまにある、というか、ぼくを溺愛した亡き祖母が九州の文学少女だったことがそもそものぼくの文章遍歴の先史に位置するのかもしれず、まあとにかく、ここに拾っておけばいずれ読み返すこともあるだろう。

 石野真子のベスト盤を注文すべきか。う~ん迷う。


石野真子 プリティー・プリティー