俺にはブルーズを歌う権利なんかない

どこにも所属を持たず仕事/勉強/読書を続けています。2008年、音楽についてメモ代わりに書くためにこのブログを始めました。

あー夏休み

 受験英語で育ってきた私自身は、会社勤めをしていたころから、英語の語彙の豊富さにおいては人後に落ちないという自負を持ってきた。実際、海外営業の仕事をしていた当時、私がアテンド(attend 随行)したアメリカ人のお客様からこう言われたことがある。

「日本国内で勉強したというが、それにしては語彙が豊かだね。さっき、お菓子の説明をしてくれた時にconfectionery(菓子類)という言葉を使っていたけれど、英語を母語としない人たちなら、たいていはcakeとかcandyとしか言えないものだよ……」

 

英語屋さんの虎ノ巻 (集英社新書)

英語屋さんの虎ノ巻 (集英社新書)

 

  拾っておこう。語彙の増強には王道はない、という話のなかの一節。

 ぼくがこれをうらやましいと思うのは、英語に関してではなく、長年大学で教えたロシア語で、自分はどうもこのレベルじゃないみたいだ、と痛感されることが多かったから。

 サハリン出張のときなど、ぼくだけじゃ通訳の用が足りないから、在樺コリアンの日本語の達者なおじいさんおばあさんに来てもらうことが何度もあったけれど、ぼくのいないところで、彼らが「なんであんな人が通訳をやっているんですか」という話をしているのがまる聞こえ、ということがあって、やはりつらかった。

 それでもう、研究室を引き払ってしばらくは、ロシア語は見るのもいや、という状態だった。その後、研究会に呼ばれたのをきっかけみたいにしてまたポツリポツリとロシア語の小説を読むようになったが、語彙力ががっちりしていないという実感は相変わらずだ。ラジオなんかを聴いていたらてきめんで、早口のニュース解説が続くと、集中力が切れてしまう。

 これも、王道はないのだ。英語でやったみたいに、ロシア語の紙誌を興味を持ってむさぼり読み、例文を書きぬき、音読し…という方法以外、この半端な状態を脱する道はない。

 思えば、なまじ英語に自信があったのが悪い意味で逃げ道になり、背水の陣でロシア語のボキャブラリーの増強をやった経験がない。ある意味ではのんびりマイペースな学習歴で、でもそんな自分がロシア語教師をやっていると、「英語の先生かと思った」とけげんな顔をされることも多かった。

 誰それがロシア語検定一級を受けて、やすやすと受かってしまった、という話を聞くことがあったのは、10年以上前。あのころは、うらやましいと思いつつ、こっちはそれどころじゃなかった。いや、一時期、必死に自作の単語帳を暗記しようとしていたことはあるのだが。まだあきらめてはいない。

 去年もチューブの動画を貼ったっけ。↓今年も貼っておく。浴衣の誰かさんとの出会いなんて、あるわけないのだが、今年ももうお盆まで来てしまったことへ感慨がある。当地はもう、30度を越える日はないんじゃないか。数日、暑い日があるだろうが、お盆を過ぎたらもう秋だ。

 


あー夏休み。