パイノパイノパイ
ドイツとフランスに関する真実は、すべてが異なるということなのです。人口様態も、女性の地位も、家族の相互関係も、産業構造も…
しかし、なぜこの多様性を恐れなければならないのでしょうか。受け容れがたいのは、こうした差異が存在しないかのように振る舞うことです。二コラ・サルコジが『ル・モンド』紙のインタビューに答えて、「われわれにドイツと違ったことをする権利はない。食い違いは衝突につながるから」(二〇一一年一二月一三日付)と言っていましたが、あれでもって、仏独の状況と関係について彼が何ひとつ理解していないことが判明しました。
「ドイツ帝国」が世界を破滅させる 日本人への警告 (文春新書)
- 作者: エマニュエル・トッド,堀茂樹
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2015/05/20
- メディア: 新書
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このへんは、CNN観てるだけじゃちっともわからない。EUにおけるドイツのひとり勝ちとその文化的帰結を考えるうえで、この本、あまり古くならないうちに読んだのはよかった。これで刊行から一年以上経っちゃうと、国際政治もいろいろ変わる。現に難民流入をめぐる政策の二転三転があったことでもあるし。ひどいテロもあったし、もちろん現仏大統領もサルコジじゃない。過去何年ぶんかのインタビュー集成なので、刊行時にすでにそもそも古い部分はいろいろある。だからこそ、関心のある向きは、いま読んでおくべきだ。
新古本屋に最近行ってみた。めったに入らないんだけれど、中途半端に古くて、新刊で買うのはちょっと…という新書がたくさん投げ売りされていて、その場末感がなかなかよいと思った。東京などの大都市と違って、北海道じゃ「場末」なんて言葉はあまり使わないんではあるが。ただ、無効になった古い情報を抱えこむのは危険、ということもある。そのへん、注意が必要ではある。