俺にはブルーズを歌う権利なんかない

どこにも所属を持たず仕事/勉強/読書を続けています。2008年、音楽についてメモ代わりに書くためにこのブログを始めました。

ブンとフン

 メモ代わりに。

 昨日のNHK-FM『今日は一日ラジオドラマ三昧』、結局最後まで聴きました。井上ひさし作「ブンとフン」には心底驚いた。小説家ブンが書いた原稿の中から女泥棒のフンが抜け出して作者=創造主に反逆するというフランケンシュタイン・モチーフがあり、女悪魔による作家への、魂とひきかえに何でもかなえてあげるというゲーテファウスト』的誘惑があり、さらにはその悪魔が「語り手」にたいし、作者の課する拘束を振り切って自身の声を上げよとけしかけるバフチンポリフォニー小説論ばりのそそのかしがあり、とても面白かったですね。

 なんと、これを小説化したのが井上さんの作家デビューなんだというから二度おどろき。藤村有弘さんや熊倉一雄さん、黒柳徹子さんらの生気あふれるテンポ良い演技も全く色あせていませんでしたね。

 「今日は一日〇〇三昧」、月曜から昨日まで三日連続で聴きましたが、三日目のラジオドラマは、さすがに聴かなくともよいかという気はしたのです。気はしたのですが、結局聴いてしまいました。聴いただけの値打ちは充分あった。

 そのあとの三木鶏郎の「ピアノ物語」がまたすごかった。NHKにも保存されておらず、三木鶏郎の名を冠した事務所に保存されていた和紙を使ったテープのデジタル化。ストーリーもさることながら、随所に挿入されるピアノによって、三木氏が、いかにジャズからもう少しビートの強いものへと移り変わりゆくアメリカ音楽にこだわっていたか、うかがうことが出来ました。

 何かのごほうびみたいに晴天の続いた、素晴らしい秋の連休。汗もかいたし。気持ちよかった。

 

ブンとフン (新潮文庫)

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