神奈川水滸伝
My Universities (Penguin Twentieth Century Classics)
- 作者: Maxim Gorky,Ronald Wilks
- 出版社/メーカー: Penguin Classics
- 発売日: 1992/08/15
- メディア: ペーパーバック
- この商品を含むブログを見る
My Universities (in Russian) / Мои университеты (English Edition)
- 作者: Maxim Gorky
- 発売日: 2014/05/28
- メディア: Kindle版
- この商品を含むブログを見る
- 作者: Maksim Gorky,M. Wettlin
- 出版社/メーカー: Central Books Ltd
- 発売日: 1968/09
- メディア: ペーパーバック
- この商品を含むブログを見る
ゴーリキー選集〈第12巻〉私の大学・番人・初恋について (1953年) (青木文庫〈第108〉)
- 出版社/メーカー: 青木書店
- 発売日: 1953
- メディア: 文庫
- この商品を含むブログ (2件) を見る
辞書を引きながらであれば、少し、ドイツ語を読むことができる。ずっと辞書を引きっぱなしでよければ、ロシア語もなんとかわかる。どちらも独学だ。
18歳の時、拘置所に7か月と少し入った。その頃、社会や政治について話す自分の言葉の薄っぺらさが心底イヤになっていた。すべてが受け売りに思えた。だから、なにもかも一から勉強しようとした。翻訳ですら信用できず、読むなら原典にあたるしかない、と思い詰めていた。あらゆる本を読んだが、正しく学問の方法を学んだことがないので、わからないままのことも多い。独学の弊害だろう。だが、独房がわたしの大学だった。
政治的感性や信条/心情のことはさておいて、独房と語学学習の相性の良さ、みたいなことを考えさせられる一節。それにしても「独房がわたしの大学」なのにくらべて、一般論ですが、今じゃ大学の個人研究室が独房化してないだろうか。わかりませんが。
「一犯一語」とかいって、獄に入るたびに新しい語学をものにしていたのは大杉栄だったでしょうか。ぼくはさいわい、そんな苛酷な目に合わずに済んでいますが、すっかり英語中心主義に毒されていて、こういう、根性のいる独学、しないで済ませてますね。
英語力の向上がとかく華麗なサクセス・ストーリーに結びつきがちなのに対し、知識欲に駆られて、辞書を引きながら独学したドイツ語を拾い読む、という地味さが、ここではかえって新鮮でした。70年代の匂いがするのは気のせいか。ちなみに「わたしの大学」という言い回しは、やっぱりゴーリキー『わたしの大学』からとられているんでしょう。ゴーリキーの方ではこの「大学」は複数形なのに要注意。