俺にはブルーズを歌う権利なんかない

どこにも所属を持たず仕事/勉強/読書を続けています。2008年、音楽についてメモ代わりに書くためにこのブログを始めました。

チム・チム・チェリー

  何度か引用しました水田洋さんの『ある精神の軌跡』は何度も読み返し、葦編三絶。これ比喩ではなく、ほんとうに装丁がバラバラになり、それを無理やりまとめて読んでいたのですが、後半の数十ページがとうとう脱落、どこかへ紛れてしまいました。

 そのどこかに、思想史の研究をするならば、雑誌のたぐいを読む余裕はない(あるいはそんなものを読んでいてはいけない)、といったことが書かれていた記憶があります。たしかに、勉強なり研究なりをしながら『TIME』とか英字新聞とかを隅々まで読む、というのはかなり無理。

 『TIME』合併号の「世界で最も影響力のある100人」、読まぬまま来てから二週間が経とうとしています。日本人は村上春樹さんと片付けコンサルタント近藤麻理恵さんの二人が取り上げられ、そのうち近藤さんについての書かれっぷりがしゃれっ気に満ちているのはネット上でも話題にする人がおられますね。元記事はこちら。

Marie Kondo by Jamie Lee Curtis: TIME 100

 

 近藤さんの名をthis modern-day "Marie Poppins"としてあるところ、近藤さんの整理術をself help「自助」にかけてshelf helpとしてあるところがミソですね。

 もちろんこういううまい言い回し、ジャーナリズムの英語にすぎないといえばそれまでなんですが、こういうのは妙に頭に残ります。ウクライナ危機の時もタイム誌には「Soviet Reunion」という絶妙の言い回しが登場しました。「ソ連」に引っ掛けて、ロシアはソ連の「再結成」を狙ってるんじゃないか、という意味合いでしょう。

 あるいは、数年前、英字紙で、日本の自転車事情が紹介されていましたが、「ママチャリ」のことを「Mama-chari, or  Mama chariot」と解説してあるのには舌を巻きました。「チャリ」は「チャリンコ」の略称で…と解説するより、すんなりイメージが伝わりますね。

 あるいは、二〇年近く前、関西弁を英語で解説した本が出て、それを絶賛した書評を読んだこともありました。Don't go west without it.という結びの文句が忘れられません。go west がdieの婉曲表現で「死ぬ、こわれる」の意味であるのにかけてあります。

 こういうの、まだまだあったはず。メモってまとめておけば何かになったかもしれないですが、もはや記憶のかなた。

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 普段から家にいるのに、連休はやはり連休の気分になるから不思議。ふだんの週も、金曜にはなんとなく気分が華やぎ、日曜の夕方には憂うつになります。そんな暮らしを長く続けてきたから、というほかに、何かあるんじゃないかなあ。


Chim Chim Cher-ee (from "Mary Poppins") - YouTube

 

 

人生がときめく片づけの魔法

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スマイルズの世界的名著 自助論 知的生きかた文庫

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自助論

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自助論 (知的生きかた文庫)

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グラスゴウ大学講義

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リヴァイアサン〈第1〉 (1954年) (岩波文庫)

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