踊ろう楽しいポーレチケ
父には暇な時間があったためしがなかった。そもそも、一切の物ごとに関与しないと気がすまず、どんなに小さいことも、どんなに専門的なことも完全に把握しようとする類の指導者だったのだ。そういう指導者は、あるアイデアや技術的な提案の本質をひとたび把握すると、その実行に向けてまっしぐらに突進し、あらゆる障害を排除しようとするものだ。父もこの流儀で、住宅、開拓、ミサイル、溶鉱炉など多くの問題に取り組んだ。過ちも犯し、そのなかにはルイセンコを支持するといったみっともないものもあった。しかし、私はここで功罪を論じるつもりはない。ただ、その姿勢のことを述べたいだけだ。(セルゲイ・フルシチョフ『父フルシチョフ 解任と死 上』、福島正光訳、ウィリアム・トーブマン編、1991年、241~242頁)
タブレット端末の目覚まし音で四時十分起き。日によってはとても起きられず、そのまま寝続ける日もあります。このところそういう日が多かったですな。で、今日はきちんと起きて勉強部屋に入り、二時間半これを読みました。スターリンの後継でソ連共産党第一書記となったニキータ・フルシチョフの解任と死を息子のセルゲイ・フルシチョフが語る本。ようやく三〇〇頁くらい読んだところです。
ソ連政治については通りいっぺんのことしか知らず、昨年あたり、必要に迫られていろいろ読むうち、フルシチョフがスターリンとは異なり、共産党「書記長」ではなく「第一書記」であること、「kukuruznik(トウモロコシ野郎?)」といった呼ばわりかたをされていたことを知りました。今回読んでいて、ソ連科学史上最大の汚点ともいえる獲得形質遺伝学説を唱えたルィセンコに入れ込んだ経緯など少しわかりましたね。
また、ソ連の最高指導者の職を解任されたばかりのフルシチョフが目標を失って何も手につかず、失った職のことをずっと心の中で追い続けている様子がひしひしとわかりました。円満退社などという美しい言葉がありますが、志半ばで職を去った者は、その後何年も、失った職のことを恨めしく心の中で反芻する。よくある話だけれど、政治家の場合、余計その度合いは強いでしょう。
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NHKラジオは相変わらずいいですね。いつぞやは『音楽遊覧飛行』でこれが流れていました。ポーランド民謡か。いっぺん行きたかったなポーランド。
踊ろう楽しいポーレチケ/東京放送児童合唱団〔朝日ソノラマ版〕 - YouTube
フルシチョフ秘密報告「スターリン批判」 (1977年) (講談社学術文庫)
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