俺にはブルーズを歌う権利なんかない

どこにも所属を持たず仕事/勉強/読書を続けています。2008年、音楽についてメモ代わりに書くためにこのブログを始めました。

ひきつづき岡崎京子『東京ガールズブラボー』

昨日に引き続き『東京ガールズブラボー』の話です。

お使いに出たまま近田春夫&ビブラトーンズのライヴに行ってしまったサカエちゃん、お母さんから外出禁止とお小遣い停止の「処分」を食らいます。せっかく憧れの東京に出てきたのに、学校はつまらないし、休日も巣鴨の親せきのおうちから一歩も出られない…

そこへ友達二人がケーキを買って遊びに来ます。ケーキを食べながら不満をふちまけるサカエちゃん。「どーしてトーキョーのガッコなのに、ウチのガッコのナウ血中濃度はひくいの!!なんで、どーして?」。それにたいして友人たちはこう答えるのです。「ウチのガッコ、ほとんどプレッピーかサーファーだもんね(あとヤンキー)。ね、オフコースユーミン、松山チハルって感じだもん」。この答にますますキレるサカエちゃん。「ださい、ださい、ださすぎる!!」。そしてさりげなくこう付け加えるのです。「そりゃ北海道じゃチハルは神様だけどさ」。この、必要あるんだか無いんだかわからないチハル御大への配慮が絶妙です。

さらに「トーキョーの人ってトーキョーの人なのに、YMOの「増殖」みたくテクノでサイバーじゃないのお!!」と嘆くサカエちゃんに、友人たちは「サカエちゃん、やっぱトーキョーに対してゴカイとゲンソーがあるのよ」と指摘しますが、サカエちゃんは「人生なんてゴカイとゲンソーよ!」と啖呵を切ります。このくだり、どうしても、近田春夫さんがラジオでよく言っていた「世の中、誤解で成り立っている」という警句とかさなって読めてしまうんですね。岡崎さんもそうとうディープな近田さんのファンなんじゃないか、って思いましたね。

ということで読みどころ満載の『東京ガールズブラボー』。明日もう一回ぐらい、この話題行きますか。