沢田研二「時の過ぎゆくままに」

昨日、仕事から帰ってＴＶをつけたら、工藤静香さんが押尾コータロー氏のギターをバックに「時の過ぎゆくままに」を歌っていました。作詞家・阿久悠さんの作品を集めたトリビュート盤『歌鬼（Ga-Ki）』からの一曲。このアルバムのなかでこの曲がベストトラックだと考える方も多いのではないかと思われる、味のある歌いぶりです。工藤さんの声が、この退廃的な曲調と意外なほどマッチしています。

オリジナルはもちろん沢田研二。一昨日の記事で曲が先か詞が先かという話をチラッと書きましたが、以前阿久さん自身がラジオで語っていたところによれば、この曲は詞が先です。その上で何人かの作曲家に曲を依頼して競作させるという方法をとり、一番できのよかった大野克夫さんの曲が採られたのだそうです。他の作曲家の書いたメロディも素晴らしくて、それぞれ別の詞がついて他の歌手が歌ってヒットしたといいます。

沢田研二さんのベスト盤『ロイヤル・ストレート・フラッシュ』、スター沢田研二のヒット曲を網羅したものです。ド派手で常に演出過多だったジュリーのイメージを支えていた時代の文脈みたいなものが消滅してしまった今、あんまり聴く気になれなくてＣＤ棚で眠っていましたが、今回の工藤静香ヴァージョンでふと聴きかえしたくなりました。本家の「時の過ぎゆくままに」、やはりいいです。サウンドも、これは井上堯之バンドのピーク時の演奏ですね。ブルージーな歌謡ロックの、ひとつの頂点だと思います。