俺にはブルーズを歌う権利なんかない

どこにも所属を持たず仕事/勉強/読書を続けています。2008年、音楽についてメモ代わりに書くためにこのブログを始めました。

門倉有希「哀愁エリア」

昼飯食いに行った帰りとか、たまに聴きたくなりますね、門倉有希。例によって車に積みっぱなしの(一体何枚積んでるんですかね)『門倉有希セレクション~歌謡曲side~』をひさびさカーステレオにセットして、聴きながら移動してます。「歌謡曲サイド」のほかに「演歌サイド」というCDがあって…って、「歌謡曲」と「演歌」、その間に横たわる無視しがたい溝、若い皆さん、わかりますかね。

門倉有希「哀愁エリア」(ちあき哲也作詞・山川三郎作曲・伊戸のりお編曲)

これも、若い人なら「これこそ演歌じゃないんですか」というような曲ですね。でも、音階からは4度と7度が抜けてません。三味線も入ってません。唱法も過度にメリスマを効かせたものじゃありません。ゆえに「演歌」じゃなく「歌謡曲」、という解釈でいいんですかね、楽理に明るい皆さん。

詞は、こりゃもう、妻子あるオトコとつきあっている女性の心情を歌ったものですね。何年経っても幸せをつかめない大人のオンナのあきらめと怨念が、詞のはしばしからごぼごぼとあふれ出してきます。

日曜は この世にいらない

家に灯りが ともるわ

自慢げにともるわ

割れた月を曳いて どこへ下る小舟

この恋、住所は 哀愁エリア

「日曜日はこの世にいらない」、ねえ…。あたし、仕事してるほうが楽しいわ、なんていいながら、陰でわら人形に釘打ってるような気配(はちょっと言いすぎですけど)がビンビン伝わってきて、思わず息を呑みます。いや、これマジに聴き応えありますよ。実人生でこんな女性とかかわりを持ちたいとは毛頭思いませんが、趣味の音楽としては、こういう趣向の歌謡曲を聴くのが大好きなんだなあ。職場に戻る国道を走りながら、思わず口ずさんでいました。「窓をつつく カモメ 運河沿いのホテル このこ~い~ じゅ~しょは~ あ~いしゅうえ~りあ~」。はあっ。午後は会議。こういう、平凡で地味な日常が、永遠に続いてくれるといいなあ。