俺にはブルーズを歌う権利なんかない

どこにも所属を持たず仕事/勉強/読書を続けています。2008年、音楽についてメモ代わりに書くためにこのブログを始めました。

アルフィーのテーマ~want forは「~が欠けている」の意

 興味深いことに、北欧語からdieという動詞を借用した結果、古英語で「死ぬ」を意味したsteorfanの意味は限定され、現代英語のstarveとなった、wantは古ノルド語のvanta(欠いている)に倣い、最初は「欠く、持たない」を意味し、現在のように「欲する」の意味で用いられるようになったのは18世紀初めからである。wantに見られる意味変化は、「持っていないと欲しくなる」というわれわれ人間の性(さが)を反映している。

 

英語の歴史―過去から未来への物語 (中公新書)

英語の歴史―過去から未来への物語 (中公新書)

 

  英語の歴史については、ひと通り習ったうちに入るかどうか。教員免許の関係でたくさん取った英語の講読の授業のいくつかが英語史を題材にしていて、それで十分なような気もしていたけれど、数年前にリアル書店でつい買ったこれを読めば、知らないことがまたたくさん書かれているだろう。

 ドイツ語の初歩を知っているだけでもこういう場合は大助かりで、ドイツ語でsterben「死ぬ」という動詞を習えば、その時点で上の「死ぬ」の件は半分わかってしまう。wantについてはどうかというと、これは英語の読み物をひたすら読んでいるうち、wantのもとの語義は「欠乏」で、今でもwant forという群動詞は「~が欠けている」という意味だということを知るはずだ。for want of というと「なになに不足のために」の意だ。

 ということで、もともと言語学をやりたいということで大学に入り直した自分であった。しかしなぜか同時に「ロシア語をやる」と宣言してしまっており、そのことで、「言語学志望」を「英語学専攻」へ微妙にずらして世渡りする、といったことができなかったような気もするのだった。

 ロシア語は、とにかく時間がかかる。英語も捨てずに、となるとなおさらだ。ぼくも決して記憶力がとてつもなく強い方ではない。何回も出遭わないと単語はおぼえられないし、未知の単語がひとつあるだけで、その段落全体がもやにかすんだようになり、奨めなくなる。でも、数年前よりややまし、とも実感される。あきらめないこと。


Stevie Wonder performs "Alfie" at the Gershwin Prize for Hal David and Burt Bacharach