俺にはブルーズを歌う権利なんかない

どこにも所属を持たず仕事/勉強/読書を続けています。2008年、音楽についてメモ代わりに書くためにこのブログを始めました。

Nice Work If You Can Get It~雨のなかコップを買ってきた

 もう何度となく考えたことだが、文学の場合、人間の内面の世界については、どんなにリアルなものであっても、近似的にしか現実には対応できないものだ。ぼくはなんとか思い出そうとしていた。いったい世の中の文学作品で、今のぼくの状況や、それに似た状況に主人公が置かれた場合、なんのためらいもなく言下に、自分は行く意志はないと表明するようなケースが、たとえ一作でもあっただろうか。読者は主人公にそんなことを望むわけがない。そこで、やはり主人公は出かけることになり、幾千の障害を克服し、ヒロイズムの奇蹟を成し遂げるのだ。ところが、それでもやはり、編集者はもちろん読者の目にも、主人公は何だか薄汚れた感じを与えてしまうのが常じゃないだろうか。

 

モスクワ妄想倶楽部

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  コップを買いに行った。

 いやなに、ワイングラスみたいなやつ、あれでノンアル飲料を飲んでたんだけれど、老母が洗おうとしたらひびが入っているというので。見たら、ほんとだ。危ないのでそちらは捨てることにした。

 で、今日は、同じようなワイングラスと、ふつうのコップと、タンブラーというやつ、それぞれ一つずつ。どうせ安物だが、気に入ったコップがあると楽しい。

 もうお酒を飲まなくなってだいぶ経つけれど、むかしはほんと、夕暮れにビールをくいっとやるのが最高で、そのためのコップは毎日だいたい同じのを使っていた。今でも、書庫兼物置きのなかでそのころの食器など出てきたりすると、昔のことがよみがえったりする。ほんといろいろあった。

 BS-TBSの月曜にやっている『酒場放浪記』は、だいたい毎週観てる。吉田類さんという、美術家・物書き・俳人らしい人が居酒屋に入って刺身や焼き鳥を食べてビールやホッピー、日本酒を聞こし召して…という趣向の番組だけれど、むろん、仕込んであらかじめ入念な打ち合わせ済みなのは観てれば何となくわかる。それでもこの番組は飽きずにずっと観てるなあ。同局では女性リポーターが飲み歩く『おんな酒場放浪記』も別の曜日にやっていて、そっちも二週にいっぺんぐらいは観ている。

 今日は雨。初夏ではあるが、ストーブをたくことがある。ほんとに夏のはじめらしくなるのは来週からだろうか。今日は、コップは買ったけれど、レトルトのカレーを買っておくのを忘れた。シャンプーやヘアトニックも切れかけている。

 チャーリー・バードのアルバムを繰り返し聴く。ガットギターを自在に操り、ちゃんとスイングしてる。あったかくて、なおかつクール。ほんと素晴らしい。


Charlie Byrd - Nice Work if you can Get It (1960)