いったい現状を把握している者はいるのだろうか
特徴的であったのは、呼称についての規定である。ロシア軍では将校の階級ごとに敬称に複雑な差がつけられていたが、それらは全て廃止され、今後は「将校さん」と呼ぶことになった。一方で、将校が兵士を「お前」呼ばわりすることは厳禁された。ソヴィエトは日常的な行為のレヴェルで、徹底的に権威を破壊しようとしていた。
これははじめて知ったけれど、似たようなことは二十年以上前の大学院生時代に読みかじっていた。ロシアでは尊敬をこめてひとに呼びかけるときは姓を使わず、名前と父称を使う。父称というのは父親の名から自動的に決まるミドルネームで、男性なら「…ヴィチ」、女性なら「…ヴナ」という終わり方をしている、あれだ。(「ショスタコーヴィチ」のように姓が「ヴィチ」で終わる形をしていることもあるが、それはここでは置いておく)。で、革命後は召使たちが、主人にたいして「わたしのことも名と父称で呼んでください」と要求することがあったという例を読んで、強い印象を受けたことが昔あった。
二人称の代名詞も、親密な間柄や目下の者にたいしては「お前」だ。これは呼びかけだけの問題ではなくて、動詞のかたちを決める主語が二人称単数の「お前」なのだ。敬う場合には相手がひとりであっても二人称複数形を使えば「あなた」の意味になる。この「お前」が禁止されたというのは、拾っておこう。
ぼくは文学専攻だったけれど、ロシア語学専攻だったとしたら、革命と言語の関係というのはすごく興味があった。日本にいてどれだけ資料を使えたかははなはだ心もとないけれど、やってみたかった気持ちは今でも忘れない。
今朝は眠り浅く、思い切って未明に布団を飛び出して、タルコフスキーをロシア語字幕で見ていたが、面白かったなあ。もう何度か見直さないといかんなこれは。
先日初めて通販で買った靴がけっこう良くて、外へ出るのが楽しい。昨日は雨で、買い物に出るとき老母が、「長靴を履いて行けば」というのを、これくらい大丈夫だろうからと、新調した靴で出かけたが、かなりぐっしょり濡れてしまった。すぐに新聞紙を丸めて型崩れしないようにして乾燥させ、乾いたところでクリームと防水スプレー。元通りになった。
今日は図書館。これを借りてきた。買ってもいいが。
あと、これは思い切って注文。ノンアル飲料を十日がまんすればいいだろう。
外国文学研究における研究対象の次数の繰り下がり問題を考えているうち、これは読まないと…という気持ちになる。読んでからまた何か考えよう。
Chicago - Does Anybody Really Know What Time It Is?