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俺にはブルーズを歌う権利なんかない

どこにも所属を持たず仕事/勉強/読書を続けています。2008年、音楽についてメモ代わりに書くためにこのブログを始めました。

南部訛りの英語はぜんぜんわからないらしいということについて

 だれもが「サザン・ドロール」で話していた。曖昧に溶けたような甘い母音を、ゆったりとした口調でひきずりながら鼻声でしゃべる。二人称の「ユー」に単数複数の区別が存在する(単数はふつうのyouで複数はy’all)。それが南部訛りで、そうしたアクセントはそれまでに聞いたことがなかった。もちろん教師は、半数は北部出身だし、南部出身でも標準化されたマスメディア的アクセントで話す人が多かったから、話がわからないということはない。しかし学生や町のおじさんおばさんには━━白人と黒人を問わず━━何をいっているのか実にまったくわからない人がいた。仕方がないので、こちらも曖昧な顔で、むにゃむにゃと相槌を打ってごまかすことばかりが上達した。もちろんあらゆる言葉は、慣れれば必ずわかるようになる。人間は誰でもどんな言葉でも覚えることができる。わからないのは十分に慣れるところまでゆかないためと、一種の反射神経の問題であり、どちらも自分で克服するしかなかった。これについては、残念ながら、いまもまだあまり進歩がない。 

 

コヨーテ読書―翻訳・放浪・批評

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  ぼくはアメリカの南部はおろか、アメリカ自体行ったことがないので、へえと思いながら読むだけなのだけれど。二人称の複数ということはこれを読んでから意識するようになったが、標準的な英語でも、二人称の複数形としてyou guysと言うことが多いのに気づいたりした。

 CNNを見ていても、ぜんぜんわからない英語をしゃべる人がときどき登場する気がする。録画してあった場合は、たまにそういう部分だけもう一度観たりということもある。ウラを返せば、たいていの場合は標準的な発音でしゃべってくれる記者やコメンテーターが多くて、だから見ていてもわかる。

 語彙がわからないから、という場合もあろう。こないだもCNNの新番組の予告でtantamount to treason「反逆罪に等しい」といった言い回しが使われれていた。subterfuge「口実」などという語もたまに耳にする。potable waterは「飲料水」。けっしてportable じゃない。poultry「鶏肉類」とpaltry「つまらない」も似ていて、あれっとなる。clandestine「人目につかない」というのも、けっして特殊な語ではない。こうした語彙は、絶えず読んでおぎなっていないと、たちまち錆びつく。ここから聴いてもわからない、ということが生じうる。

 ただ、上で言われている南部人の英語のわからなさは、そんなレベルじゃないだろう。公式のジャーナリズムやアカデミズムの英語とぜんぜん次元の違う英語というものが、現地で生活してみると、どうもあるみたいだ。

 二度目の学部生時代、アメリカ研究の集中講義を取ったけれど、そこで見せられた、むかしの南部の黒人労働者たちの話している英語は、やはりまったくわからなかった。その時間の出席票にそのことを書いたら、東京からおいでになった教授が、「まあ、私だって聴き取れませんから」と苦笑していた。

 これは今後の課題というか、アメリカに長期滞在する予定があるわけでもないから、今後も課題にならないままで終わるだろう。そのことは残念である反面、明るいうちからおうちで風呂につかっている身としては、もうきつい語学的冒険はいいや、と安堵する面もある。買いためた映画のDVDを観ることは今後もあるので、そこで疑似的にそういう経験をするだろうけど。

 もしこんどデスクトップのパソコンを買うとしたら、CPUはCore i3で十分ではないかと思いつつ、こういう動画を。かなり早口だけれど。


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