俺にはブルーズを歌う権利なんかない

どこにも所属を持たず仕事/勉強/読書を続けています。2008年、音楽についてメモ代わりに書くためにこのブログを始めました。

Time is Tight~語学徒の冬学期ももう三月

 人はよく御維新とか、文明開化と簡単にいうが、鹿鳴館のはなやかさにしても、電信電話も、汽車も汽船も鉄砲も軍艦も、イルミネーションも、さては洋学洋書も、技術者を招いても、それには大変なゼニが必要だったはずである。そのゼニはいったいどこから持ってきたのか? ここが一番大事なところである。こういうことを無視して明治を論じても意味がない。

 例えば明治政府がとった初期の官営殖産興業政策にしても、多くの「外貨」が必要だった。鉄道、鉱山、造船、海運、農蚕、その他諸工業等、ここに雇われてきた、いわゆる「お雇い外国人」の俸給は、明治七年政府統計でみると、太政大臣三条実美の八百円と同額のものが十人もいた。重臣岩倉具視の六百円、参議大久保利通の五百円よりそれぞれ二、三百円も多い額である。こんなのを含めてお雇い外人の数はそのころ政府雇いだけで五百人、民間雇いはもちろんもっと多かった。特に工部省のごときは通常経費の約三分の一が、この外国人技師の人件費に支払われていた[…]

 

  三月になった。今から五月末までが、ぼくの一番好きな季節だから、無駄にせぬようしっかり過ごそう。

 で、語学徒の冬学期と言いつつ、方向性を見失いかけていた。〈ひとり原書講読〉はいいとして、アプダイクの『S.』を途中まで読んでいて、これは本来やるべきことからすれば逸脱がはなはだしいのにいやでも気づかざるを得ない。

 で、そっちは中断し、今日からロシア語の問題集のおさらいをやり始めた。二十数年前、大学院に入る前にやった、懐かしい問題集だ。先日の札幌で、やはりこの問題集の話になり、いろんなことを忘れているのに気づけて効果的、という話になったのだった。で、ガーっとやっている。ただし、ひと通りやるのに10日もかけないつもり。一回ざっとやって、また見直す、の繰り返しでいいだろう。

 なかなか侮れないのは、「ライ麦」という名詞の文法上の性がすんなり出てこなかったり、「旗」という名詞の複数形を間違えたり、という点で、それこそは語学が「錆びつく」ということなのだ。過去に一回やって、間違えたところにはしるしがしてある。そこは案外間違わない。思わぬところを忘れている。

 この問題集も、処分せずにずっと持っていたもの。一度、屋根から雨漏りがして本を何冊もだめにした時があったが、そのときこれも被害に遭った。しかし、これとメアリ・シェリー『フランケンシュタイン』の初めて買った版は、きちんと乾かし、また使えるようにしておいた。

 あれから六年くらい経つと思う。おかしなもので、大学に籍がなくなってから、ふしぎと最初に行った、もう縁の切れてしまった大学のことを夢に見るようになった。けさも、夢の中ではあの最初に行った大学にまた再入学しようとしていた。かつての同級生だったらしいおじさんらが出てきて、そちらは、自分の子弟を入学させに来ているのだった。大学に入り直す夢を今後も見続けると思うと、あんまり愉快ではないわな。

 最初の大学で、日本経済史などをやる機会もあったが、そちらに行っていれば今ごろ何をやっていただろう。学問の世界にとどまる可能性は低くて、やはり塾の先生をしていただろうか。経済史をやるにしてもやはり、(日本語の古文書なども含めて)語学、なんだよなあ。経済学部出身でありながら翻訳家だったり、歴史家だったり、思想研究者だったりと言う人らは、たいていは東京などの有名大学を出ている。そういう道が、田舎にいるとまったく見えない、そのことによる回り道やら何やら。

 レーニン『哲学ノート』(ロシア語)も数ページ読んだが、おもしろいことはおもしろいけど、語学の練習にはならないや。


Booker T. & The MG's - Time Is Tight

 

自習ロシア語問題集

自習ロシア語問題集

 

 

 

自習ロシア語問題集 (1982年)

自習ロシア語問題集 (1982年)

 

 

 

レーニン哲学ノート〈下巻〉 (岩波文庫)

レーニン哲学ノート〈下巻〉 (岩波文庫)

 
レーニン哲学ノート〈上巻〉 (岩波文庫)

レーニン哲学ノート〈上巻〉 (岩波文庫)

 
哲学ノート (1) (国民文庫 (127a))

哲学ノート (1) (国民文庫 (127a))

 
レーニンへ帰れ―『哲学ノート』のポストテクストロジー的解読

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