俺にはブルーズを歌う権利なんかない

どこにも所属を持たず仕事/勉強/読書を続けています。2008年、音楽についてメモ代わりに書くためにこのブログを始めました。

ヴァージン・ブルー~エマニュエル・トッドのEU本や松本哉のマヌケ本を読みかけのまま過ぎる暖かな金曜

 フランスの「反米」は、ドイツの「反米」に比べれば、冗談のたぐいにすぎません。私見によればドイツ人は、第二次世界大戦における米国の勝利を正当なものと見做していません。真の勝利は地上戦における勝利であり、その勝利はロシアのものであったということを、ナチス・ドイツと熾烈に戦った連合国側兵士の九〇%がロシア人だったということを、ドイツ人は知っているからです。

 ソ連ブロック瓦解後にアメリカがロシアに対してとった苛烈な政策は、戦略的にとてつもない過ちでした。アメリカは冷戦の勝利に酔いしれていて、自らがドイツを不安定な、危なっかしい状態へと促していることに気づかなかったのです。アメリカは、ナチス・ドイツに対する真の勝者であったロシアに屈辱を味わわせました。それはある意味で、第二次大戦がなかったかのような仕打ちでした。もはや勝者も敗者もないという歴史無視でした。その結果、ドイツは自国の過去から解放されました。つまり、反ロシア政策をとったことで、米国はドイツに対するコントロール力を失ったのです。

 

  メモ代わりに。来週図書館へ返すが、五冊借りたうち、この本だけざっと読んどけばいいだろう。

 この指摘はするどいが、当否を判断する力はぼくにはない(たとえば、太平洋戦争とのバランスなどはどうなるのか)。フランスはドイツにつき従うのではなく、イギリスと組んでドイツをけん制すべきだったのに、ということらしいが、あとの祭り(といった筋が見えるが、もっと読まないと何とも言えず)。ドイツひとり勝ちをみすみす手助けしてきたフランス、という図式がいつもどおり繰り返されるのはよくわかった。

 そうそうもう一冊、松本哉の本も、ざっと読んでおきたい気がする。社会運動家プラス起業家というか、そういうとらえ方ができなくもない人だが、なにせキーワードが「マヌケ」だからなあ。人を自由にする「ふざけた場所」の作り方を説いている。

通訳はやめよう

 海外からもたくさん人が遊びに来るとなれば、どうしても言葉の問題が出てくる。と、なってくると「通訳できる人助けて~」となるんだけど、そこは心配無用。我々は所詮マヌケ同士。別に学術会議を開くわけでも高度なビジネスの話をするわけでもない。中高生の頃に学んだうろ覚えのイカサマ英単語や和製英語、カタカナ英語を繋ぎ合わせればなんとかなる。そもそも言語なんて人のコミュニケーションの中で自然と出来ていくもの。英語だって別にイギリスやアメリカの英語が正しいってこともない。アジア人がわけのわからない英語を話し続ければそれが自然と「アジア英語」という正統な英語になるはずだ。どうも我々はペリー来航以来、引け目を感じてしまいがちだけど大丈夫!開き直ったカタカナの恐ろしさを知らしめてやれ!!

 

  主張の当否はどうでもよくて、このひとの文章の勢いというのが昔から好きで、『クイック・ジャパン』誌の「貧乏人新聞」(だっけか)、よく読んでいた。ぼくも多少語学に身を入れたマヌケに過ぎないから、通訳はあんまりしたくない。日がな一日、マヌケな場所でだぼらを吹くために語学をやっているという側面も、きっとある。ちょっと引用しているだけでも、どんどん気が楽になる本だ。

 

 歯科に行く。銀歯をかぶせに。待合室で待ちながら、ドクターがあちこちで受けた研修の修了証(英文、和文半々くらい)が飾ってあるのを見る。読むともなしに読んでいて、歯科で「カリエス」というのは「虫歯」のことなのだ、と知る。秋からロシア語の単語集を潰していて、「虫歯」も、いまさらながらのように知ったのだった。ちょっと考えればわかることだが、ロシア語でもやはり「カリエスの歯」という言い方なのだ。

 上記の本を借りたのと別の、地元公民館で、地方紙のたぐいをざっと読む。これがいい社会勉強にもなる。冬の公民館は文化の香りがする、と言ったら笑われてしまうかもしれないが、静かに本が並び、新聞が読めるスペースがあるなんて、本当にありがたい。知人が地方紙にコラムなど書いているのを読んで、コピーしてもらい、持ち帰る。

 老母が帯状疱疹で、ここのところバタバタしているが、とにかく薬を服用して安静にしているしかない。家事のすべてをぼくだけではできないが、昼のそばの残りをさっと炒めたりして我が家風のおかずにし、夕食。レタス、トマトなど野菜を洗って切ったのは老母だ。

 コーヒー豆を買ってきたが、最近、うちではほとんど熱いコーヒーを飲んでいないことに気づく。一時期、マキネッタ(イタリア式のエスプレッソ・メーカーね)でさかんにエスプレッソをたてては飲んでいたが、面倒になったのか、飽きちゃったのか、水出しコーヒーのたぐいばっか。どなたかによれば、アイスコーヒーというのは俗物の極致が飲むものだそうだが、あれはどなたの本だったかなあ。

 暖気が入って、いよいよ真冬が過ぎようとしている当地。日中、小雨が降っていて、この程度の暖かさが続けばなあと思うものの、夕方、雨は雪に変わり、また大雪山のむこう側は暴風雪の警報が出ている。風で窓がガタガタいっている。みんな元気だろうか、などと思う二月中旬。


SALLY バージンブルー