涙なしじゃ言えない~昨夜読み終えたスタインベックは切なかった
Lennie looked eagerly at him. "Go on, George. Ain't you gonna give me no more hell?"
"No," said George.
"Well, I can go away," said Lennie. "I'll go right off in the hills an' find a cave if you don' want me."
George shook himself again. "No," he said. "I want you to stay with me here."
Lennie said craftily - "Tell me like you done before."
"Tell you what?"
"'Bout the other guys an' about us,"
George said, "Guys like us got no fambly. They make a little stake an' then they blow it in. They ain't got nobody in the worl' that gives a hoot in hell about 'em -"
"But not us," Lennie cried happily. "Tell about us now."
George was quiet for a moment. "But not us," he said.
"Because-"
"Because I got you an'-"
"An' I got you. We got each other, that's what, that gives a hoot in hell about us," lennie cried in triumph.
- 作者: John Steinbeck,Reinhard Gratzke
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- 発売日: 1989/12
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- 作者: ジョンスタインベック,John Steinbeck,大浦暁生
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昨夜、ここに、三日かかる、と書いたが、そのあと続きが気になってまた読んで、けっきょく昨夜のうちに読み終えた。そのとき、ああそういえば、と結末がどうなるか、何かで知っているのを思い出した。書かないが、どういう結末かは、想像がついて、それでも上記の部分、あまりの切なさに息を呑んだ。
農場から農場へと放浪する労働者のジョージとレニー。昨日も書いたとおり、図体はでかいが知能に遅れのあるレニーは、ある種の聖なる愚者だ。いくらジョージに言い聞かされても、すぐにそれを忘れ、気がつくと意図せずして悪さを犯している。そのくせ、ジョージが語る、いつか二人で農場を持ち、ウサギを育てるという夢は決して忘れないのだ。バカの一つ覚えということばは使いたくないが、その望みだけは忘れないレニーの無垢は心を打つ。これは赤塚不二夫『天才バカボン』の「忘れようとしても思い出せない」ではないのか。
↓こんな本も持っているのだが、そのうち読もう。
Holy Foolishness: Dostoevsky's Novels and the Poetics of Cultural Critique
- 作者: Harriet Murav
- 出版社/メーカー: Stanford Univ Pr
- 発売日: 1992/12
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多読という言葉を昨日は引いたけれど、今は普通に英語学習法の一つとして奨励されている。そのための、語彙数を制限した本もたくさんある。興味のある向きは、どんどんやればいいと思う。ただし、興味のない子に無理強いはNG。泳げない子に水球を教えることは無理だ。英語嫌いを増やすことになる。
むかしはことさらに「多読」などとは言わなかったが、学生が読む英文の絶対量が少ないので、それをいかに押しつけでなくたくさん読む気にさせるか、苦労している先生たちはいた。ぼくが曲がりなりにもこんな本を読めるようになったのは、その先生たちの地道な努力のおかげとしかいいようがない。
これはちょっと言葉にするのが難しいのだけれど、その先生たちは、けっして自分たちが英語の本を読めることを既得権益のように独占しようとせず、興味を持って勉強すればぼくらもそうなれる、という道筋をいつも示してくれていた。このことに、ぼくがどれほど大きな影響を受けたことか。大学院に行って、英米文学の先生の全員が全員そういう親身な人ばかりじゃないのを知って、たいそう驚いたのだった。
次に読む本を用意しとこうと、昨年末ここでちらりと書いたような読みかけの洋書、さがすが、見つからず、二時間ぐらいさがした。どこを探してもない。ないとなると余計に、火がついたように読みたくなる。で、茶の間に出しっぱなしのリュックのことを思い出す。いつか、外で読もうと、これに本を放り込んで出かけたことがあったっけ。見たら、あった。↓次はこれかなあ。『ジャパン・タイムズ』日曜版も届いたので、そっちも読む。