オリオン座のむこう~十二月八日のrah-rah
rah-rah adj. 《INFORMAL, DISAPPROVING》 1 supporting something without thinking about it enough ♦ I find the rah-rar patriotism of most American war movies annoying. 2 used to describe someone who tries to encourage people by saying only positive things ♦ Until recently, he had been known as the rah-rah college coach.
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オンラインの辞書も引いとこう。
demonstrative in the expression of college spirit
英和では「愛校心むき出しの」とあるし、このオンライの辞書の定義もcollege spiritにかかわらせてあるけど、もう少し広い意味だろうな。上のロングマンの定義がしっくりくる。定義の1と2は、分けてはあるが密接に関連している。「十分考えずに何かを支持すること」と「いいことばかり言って人を駆り立てようとすること」。
英語を読むことの面白さの一つは、日本人がもう少し入り組んだ回りくどい言い方で言っていることを、ズバリ一言で言い表す形容詞があったりすること。日本にもないわけではないのだ。rah-rahとは要するに応援団のフレーフレーであり、じっさいオックスフォードのほうを引くと、rah-rahだけでは立項されておらず、rah-rah skirt「チアリーダーのスカート」というのが出てくる。
テレビで「12月8日は何の日?」という街頭インタヴューをやっていて、若い人が「え? わかんない」「やべー、知らねえ」ときょとんとしているのを話の枕にしていたが、ぼくだってたまたま真珠湾のことを歴史の知識というか昭和の子供の常識として知っているだけであって、開戦のときになんか生まれてもいない。うちの老母でようやく、終戦の日の夕方、大人たちが集まってきて縁側で話し込んでいたのをぼんやり憶えている程度。開戦の話は聞いたことがない。
いや、老母も、幼稚園で旗を振って「東郷さん東郷さん、東郷さんは偉い人…」という歌を歌った記憶がある、とはたまに言うことがある。rah-rahとはまさにその、旗を振って声援するさまをあらわすオノマトペなのだろう。
ぼくが肌身で知っているrah-rahは国家規模ではなく、せいぜい民間企業の愛社精神・自社第一主義であり、私立大学のいささか独りよがりな校風自慢でしかない。後者は英語の辞書の定義にあるようなcollege spiritと重なるところもあるが、日本企業独自の家族主義にもすごくよく似ていて、要するに〈長い物には…〉とか、〈郷に入りては…〉式の体制順応主義であり、不肖このぼくもまた、無理強いされるのが苦手なくせに、それに過剰適応してあくせく働いて…ということはあったのである。
…なんて何の記事で引いたのかこの単語。ジャパンタイムズ日曜版、読みごたえはたいへんにあるが、とにかく話が重苦しい記事が多い気はするな。
電子辞書。日曜くらいに届く。十五年ぐらい前、一番最初に買った武骨な電子辞書はまだ手元にあって、黄ばんで古びているが、使えないことはない。それにリーダーズとロングマンが入っている。だから、それと、ロシア語モデルの電子辞書に入っているジーニアスとオックスフォード、オンラインの辞書で、我慢しようと思えば、できなくもないんだよ。
ただ、英語に特化したモデルの電子辞書、いっぺん使いたいと思っていた、その気持ちに勝てなかった。そうした英語上級モデルとしては、セイコーインスツルのものが高評価だったが、セイコーインスツル、昨年で電子辞書の市場から撤退したそうで。中古はいろいろ出回っているが、メーカーがdiscontinueした製品を中古で買う気もしない。で、今回もカシオ。十年ぐらいもってくれれば、そのころには新形態の辞書が主流になっているだろう。