ヴォルガの舟唄~「弥生会計」がなかったころの会計学徒
インターネットの普及によって、会社の取引はこれまで扱ってこなかったような領域にも広がり、国境をも簡単に越えるようになっている。
たとえば会社の経理業務でいえば、会社によっては社内に専門の担当者を置くよりも、「楽天ビジネス」のようなネット上で外注先を探せるサービスを利用して、社外に発注してしまったほうがコスト的にも安く、スピーディに業務を遂行できるという現象がおこっている。
もともと経理という仕事は、自社内のあらゆる金銭の絡む取引内容を覚えなければならない業務のため、外注することが困難な領域だった。ところが近年では、「弥生会計」のようなソフトの登場もあり会計業務が規格化されたことによって、 海外企業にまでアウトソーシングできるようになったのだ。
元会計学徒としては、なかなかに複雑な気持ちを抱きながら読む一節。知ってはいた、知ってはいたが、ここまで言われるようになっていたのか。
一時期会計専門職大学院がもてはやされながら、結局、修了者の数に見合うだけの職がない、という状況もあったことは、以下の本で知っていた。
それでもこの種のある種明快過ぎる説明に釈然としないものを感ずるのは、ずっと以前も書いたことだが、ぼくらが会計を学んだのは手に職をつけて事務員になるため(だけ)ではなく、資本主義社会で株式会社が具体的にどう運営されているかを知るためだった、といういきさつがあるからで、最初に学んだ大学時代の記憶のなかでも、マルクスなどを読んだことと、簿記の問題を解くのに一時期熱中したことの間に、まったく上下はないと思っている。
具体的な作業は外注すればいいんだろうし、あるいはソフトを使えばいいのだろうが、それをマニュアル通りに使っていて、簿記の問題をこつこつ解くような経済の理解は可能なのだろうか。簿記の問題集を解きながらだと、これはマルクス経済学の〈剰余価値学説〉とどうかかわるか、といったことを自分なりに考える、ということもあり得ると思うのだが、上掲の起業本では、そんな地味でまだるっこしいことまでは書いていない。
二度目の大学に行くまえ、最初の大学のゼミの先生と電話で話したことがある。簿記学校の先生ならばとくに免許もいらないし、それを目指したらどうか、といったありがたい親身な助言だったが、もうその方向に自分の活路があるとはどうしても思えず、語学の徒になって、ずっと今日に至っている。
明け方から、英語週刊誌の先月の分を読んでいる。大統領選挙の争点となりうる問題について各界の人士が記事を寄せた総力特集で、今日、明日読まないと、意味がない。明後日の午後には選挙の大勢が判明していることだろう。
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Glenn Miller - Song of the Volga Boatmen