俺にはブルーズを歌う権利なんかない

どこにも所属を持たず仕事/勉強/読書を続けています。2008年、音楽についてメモ代わりに書くためにこのブログを始めました。

アパートの鍵

「周知のごとく、ペトゥシキにはA地点はない。C地点は無論ない。あるのは、B地点だけだ。ここから先きが問題だ。北極探検家のパパニンは、ヴォドピヤノフの救助に向かうべく、B1地点からB2地点を目指して出発した。同時にヴォドピヤノフはパパニンの救助にB2地点からB1地点へ向かった。両人がなぜB3地点で出会ったか、その理由は定かではないが、このB3地点は、B1地点からヴォドピヤノフの喀痰十二回分の距離にあり、B2地点からはパパニンの 喀痰十六回分の距離にあった。パパニンが痰を三メートル七十二センチ飛ばすとし、一方ヴォドピヤノフは全然飛ばせないとして、パパニンは実際にヴォドピヤノフの救助に出発したと言えるか?」 

酔どれ列車、モスクワ発ペトゥシキ行 (文学の冒険シリーズ)

酔どれ列車、モスクワ発ペトゥシキ行 (文学の冒険シリーズ)

 


アパートの鍵/小林麻美   カラオケ

  

 いろいろ意義深い数日だった。

 報告をやるために出席した学会だけれど、そのことに気を取られ過ぎることもなく、中抜けや遅刻もせず、聴ける報告はすべて聴いた。たいへんな情報量だ。たった一人で勉強していたら、何年たっても、こんなにいろいろなことを知ることはできない。

 質問で手を挙げた回数は全部で六回。ことさら強迫的に自分に強いている感じがだんだん消えて、自然に訊きたいことを訊けるようになったのは収穫だった。他の人の質問を聞いていても、多くの人はあらゆることを知ったうえで質問しているわけではないことがわかる。知らないことを知らないとごく自然に言える人がらは、こういう場所でこそ強い。

 昨日は昼は一人でパンを食べ、今日は昼休み後に自分の出番があるので、昼は後回しにした。なんだか、昼休みに一人きりというその感じが、とても懐かしい。

  本屋は行かないつもりだったが、結局↓これを一冊。この人が高校生のころと思うが「市街戦のジャズメン」という小説を書いて北海道では注目されたということがなかっただろうか。一五歳ごろに盛んに読んだ、北海道の少年少女作家(? 小説家志望者)の作品を集めた本にそれは収められていなくて、すでに別格扱いで選に漏れた、といった評が載せてあった気がするが、あの本どこ行ったか。

 

海炭市叙景 (小学館文庫)

海炭市叙景 (小学館文庫)