ハロー・グッバイ
いや、これはペトゥシキじゃない! クレムリンがおれの目の前でその壮麗な偉容の全貌を燦然と輝かせていた。おれはもう後ろから来る追っ手の足音が聞こえていたが。まだこう考える暇はあった━〈モスクワを端から端まで縦横に隈なく、素面のときも二日酔いのときも、歩き回ってきたけれど、おれは一度もクレムリンを見たことがなかった。クレムリンを探していると、いつもクルスク駅に出てしまうのだ。ところが今、おれはクレムリンを目にした━━クルスク駅をこの世で何よりも必要としている時に!……〉
- 作者: ヴェネディクトエロフェーエフ,安岡治子
- 出版社/メーカー: 国書刊行会
- 発売日: 1996/11
- メディア: 単行本
- 購入: 1人 クリック: 54回
- この商品を含むブログ (12件) を見る
うちに帰ったら、またふだんの生活が待っている。つかのま、大学で教えている先生がたや研究員さんや院生に交じって研究報告を聴くのは、本当に新鮮だ。
今朝は悪夢にうなされたが、たまのホテル泊まりだから夜中に目が覚めてしまって、よく寝てなくて、そのまま起きていようと思ったら寝てしまったのだ。
老母がどこかからぼくに通訳のバイトをもらってきて、何か通信機越しに通訳をするが、よくわからない。が、どうも海外と中古車の売買が成立したらしい。しかし、それを船のあるところまで運転していくのもぼくの仕事のうちらしく、それをしなかったために商談が流れ、先方はかんかんで、会社は損害を負った…
どうしよう、と途方に暮れているところで目が覚めたが、あまりにリアルな夢で、しばらく本当にあったことなのじゃないかと寝ぼけたままだった。
あわてて支度をして学会会場まで行くが、タブレット端末を入れたケースをホテルに置いてきてしまった。でも、会場にあるパンフを頼りにえらんで聴いた報告はどれも面白かった。時間が重なって聴けないものがいくつかあるのは残念だったが、しかたがない。質問はもうやめておこうと思ったが、司会者がフロアに「どなたか質問は…」と促して誰も手を挙げないと、いつの間にか自分の手が挙がっている。困ったものだ、いや、そのために自腹を割いて来たのではないか、と逡巡はある。
今回は、この学会出席自体が我が家の予算超過で、本もCDも買わないつもり。