俺にはブルーズを歌う権利なんかない

どこにも所属を持たず仕事/勉強/読書を続けています。2008年、音楽についてメモ代わりに書くためにこのブログを始めました。

Nica's Band

 私の父の幼なじみシェプシー・ターシュウェルは、一九三五年、ブロード・ストリートの〈ニューズリール・シアター〉が街で唯一のニュース映画専門館として開館して以来ずっと、映写技師兼編集者の一人として働いていた。プログラムは一時間の長さで、ニュースクリップ、短篇映画、『時代の歩み[マーチ・オブ・タイム]』から構成され、毎日早朝から真夜中まで上映されていた。毎週木曜に、パテ社、パラマウント社から送ってくる何千フィートものフィルムから、ミスタ・ターシュウェルら四人の編集者が厳選してつなぎ合わせ、最新のプログラムを作り上げる。これを私の父のような常連が見て━━館はクリントン・ストリートにある父の勤務先から数ブロックのところにあった━━全米ニュース、世界の重要な出来事、スポーツ名場面などを一通りフォローするのだ(ラジオの時代にあって、スポーツの映像が観られるのは映画館だけだった)。

 

  今日は星くず語学徒、こんなのを読んでいた。

 学会はじきに開催されるので、もう大幅な手直しや調べ直しは間に合わない。せめて、言及する作品にちらとでも目を通しておきたい、そんなつもりで走り読みしている。もちろん、大西洋無着陸横断の飛行士リンドバーグがアメリカ大統領になり、親ナチス外交政策をとっていたら、という歴史改変小説だが、時代背景もよくえがかれているところが面白かったりする。ニュース映画専門映画館というものがあったらしい、というのも、思わぬ発見だった。面白いなあ。

 ぼく自身が、小説や映画そのものより、新聞や雑誌の時事外国語が好きだったり、ということももしかしたらあるのかもしれないが、片々たる時事的な報道も、習慣として接していれば、層をなすように一定の世界観を形成するだろう。ニュース映画と言えば本編の添え物のイメージがあるが、専門館があり、常連がいたというのだ。TVをつけてもニュースしか見ない大人たちが子供のころは不思議だったが、一九四〇年代のアメリカにそういう人らがすでにいたらしい。今ならCNNが担うような報道専門の映像の提供を、かつては街の映画館がやっていたのかと思うと、とても興味深い(日本ではこういう専門館はあったのだろうか)。

 星くず語学徒、いまだに一八歳の春にラテン語の履修申告を思い直してやめてしまったのを後悔していて、↓こんなのを注文したのが届く。むろん、今から始めて古典が読めるようにはならないだろうが、英語力の下支え、比較言語学の知識のおさらい、という意味合いで、このくらいはパラパラ眺めておきたいというレベル、と思う。でもって、欲しいと思った二階堂和美という歌手のアルバムは、今回は我慢しておいた。

 

ラテン語練習プリント

ラテン語練習プリント

 

 


二階堂和美 with Gentle Forest Jazz Band / Nica's Band