俺にはブルーズを歌う権利なんかない

どこにも所属を持たず仕事/勉強/読書を続けています。2008年、音楽についてメモ代わりに書くためにこのブログを始めました。

Autumn Leaves

そして岡崎次郎がまた面白い人なんです。この人、大月書店版の『資本論』の翻訳者です。岩波文庫版の向坂逸郎訳の下訳もしています。一九八三年に『マルクスに凭れて六〇年━自嘲生涯記』という本を出しました。この中で「おれはマルクスの翻訳で大儲けした。大月書店から印税五億円ぐらいもらった。しかし、もうカネはない。まったく残っていない。どうしたらいいんだろう」というようなことを書いて、対馬忠行という労農派の先輩のマルクス経済学者が鳴門の連絡船から身投げして自殺したので、「先を越された」と。そして、「西のほうに行く」と言い残して、奥さんと二人で失踪しちゃったんです。行方はわかりません。

 

  『マルクスに凭れて──』は、未読ながら、タイトルにははっきり記憶がある。何かの雑誌にこの本の広告が出ていた。80年代のことと思うが。ぼくは当時は大学で経済学をやったことにされてトコロテン式に出てきただけの、ただの縁なき衆生だった。むしろタイトルにある「マルクス」が「マイルス」に見えたりして、ぼくは学問とはこのままかかわりのないただの音楽が好きなあんちゃんとして歳をとっていくのかな…などと思っていた記憶が鮮明だ。

 佐藤氏のこの本は、げんなりさせられるような受け狙いの与太話も随分多いが、参考になることも多くて、35年ぐらい前手さぐりでわかろうとしていたことの一端ぐらいはわかるので、あながち無駄な読書でもなかった。

いま生きる「資本論」

いま生きる「資本論」

 

 


Autumn Leaves - Miles Davis