俺にはブルーズを歌う権利なんかない

どこにも所属を持たず仕事/勉強/読書を続けています。2008年、音楽についてメモ代わりに書くためにこのブログを始めました。

世情

ぼくには、同時代の一番優秀な奴は滅んだか、半ば廃人になったという印象が強い。[…]

 

思想としての全共闘世代 (ちくま新書)

思想としての全共闘世代 (ちくま新書)

 

  ぼくは世代的には全共闘世代なんかよりずっと下で、中学生になったばかりのときに赴任してきた新任の先生が全共闘世代のいちばん下のほうぐらいだったのではないだろうか。教員寮に遊びに行って、東京の学生運動の話なんかをしてもらった記憶がある。

 ずっとずっと後になって、いい歳をして大学院に潜り込んだ時は、バリバリの助教授先生が東大全共闘のど真ん中で、ぼくが小阪修平氏の名前を出すと、親しみを込めた苦笑を浮かべて、「小阪はどうしようもない奴で…」と、三島と全共闘の対話のときの話をしてくれたことがあった。

 ただ、関係のない者があまり興味本位であれこれ問いただしたりは、しない方がいいだろうな、という面もやはりあって、こういう一節にぶつかったりすると、ああそうなんだろうなあ…と思ったりもするのである。

 中島みゆきのあまりにも有名な「世情」は、歌詞の意味のとりにくい歌で、どちらの側に立つ者が誰と戦う歌なのか、何度聴き返してもわからなかったりもするのだが、その意味のとりにくさのままに、上記の世代の一部のリスナーに愛聴されていたりもするらしい。ぼくの知らない、知るすべももはやない、70年代の、札幌市北区の学生文化。

 


「世情」フラワーカンパニーズ 作詞作曲:中島みゆき